2004-01-01から1年間の記事一覧

氏作。Part16スレより。

「奪う女」 私はルザリアの街を歩いていた。相次ぐ激戦で私の剣は刃こぼれを起こし続け、 もはやいつへし折れてもおかしくない状態だったのだ。剣を鍛えなおす必要があった。 私は剣を刀鍛冶屋に預け、別段目的も無くぶらぶらと街を歩いていた。 仲間の疲労は…

氏作。Part16スレより。

「最後の願い」 目の前には胸から矢が飛び出て倒れている女。顔は白く、虚ろな目はただアグリアスを ぼんやりと見つめている。 ――矢の先端は胸側、つまりこの女は後ろから射殺された事になる。戦いで殺されたのか、 はたまた野盗にでも不意打ちを受けたのか…

氏作。Part16スレより。

ブナンザ一族は、曾々祖父の代から一流の機工師を数多く輩出してきたゴーグの 名門である。ブナンザ姓をもつ家は市内だけで十以上にのぼり、そのいずれもが立派な 工房を構えている。ほかに数家がイヴァリース各地に散らばって古代科学の遺産の研究に 精を出…

氏作。Part16スレより。

「ラムザ!」 駄目だ、駄目だ、駄目だ――! 心の中で叫ぶ。だけどそれでは敵は決して止まってくれないのだ。 弓の弦が引き絞られて――放たれる。どうか、間に合って――! 「がっ」 矢を胸に突き刺した彼は、妙な声を出して、地面に転がった。とても滑稽な姿に見…

氏作。Part16スレより。

今日はクリスマス、イヴァリースの子供達は誰もが落ち着かない。 そしてこの宿の旅人達も、いい感じにはしゃいでいた。 「ホー、ホー、ホーゥ! 悪い子はいねがぁ?」 「は、伯。それ、違います!」 「おう、そうじゃったな。さてさて、今年はみな良い子達だ…

氏作。Part16スレより。

しとしとと雨が降っている。じめじめとした、気分の悪い雨。 イヴァリース南端の町ゴーグ、その町の宿屋の一角で私たちは雨宿りをしていた。 「雨、いつやむんだろ…」 ぼんやりと窓の外を眺めていると、隣に座ったラッドが呟いた。彼の顔色は暗い。 宿の奥で…

氏作。Part16スレより。

雨が、しとしとと降っている。それを眺める女性が一人。 「アグリアスさん」 「ラムザ?どうした?」 「いえ、僕はどうもしていないのですが、アグリアスさん最近元気無いな、と思って」 「…そう見えるか?」 「はい」 ふぅ、とため息をつくアグリアス。 「…

氏作。Part16スレより。

昨日のこと、道でうっかりして私は人にぶつかってしまいました。 相手は金色の長髪をなびかせる綺麗な女性で、どうやらどこぞの騎士様のようです。 ぶつかった弾みに、あれは誰かへの贈り物でしょうか、ケーキが下に落ちてしまいました。 謝ろうとしたらまず…

氏作。Part16スレより。

ここ数日で我々の状況は一変した。 始めはラムザがザルバック殿を説得すると言ってルザリアに行き、失敗した。これについてはしょうがない。 なにしろ相手は私がラムザと行動を共にする前に手本としていたほどの人だ。まあ、その、職務に忠実な方なのだ。 そ…

氏作。Part16スレより。

カティロア地方、セレス家の記録。重要事項は旧文体で書かれていて判別不能。三人の娘の物語が語られている。 (注、いわゆるアンソロジー物であり、実際の人物関係とは異なります。ご了承下さい) カティロア地方、セレス家の記録から 『プロローグ』 第4章 …

氏作。Part16スレより。

暗殺者たちの猛攻を退け、ラムザ一行はランベリー城内に突入する。 そこには銀髪鬼ことエルムドア侯爵、そして殺しを生業とする アサシンのセリアとレディが悠然とこちらを見つめている。 「(城門前でレディに深手を負わせたはずだが…完璧に回復している。 …

氏作。Part16スレより。

チュンチュンと小鳥が森の朝を告げて、テントに空いた穴からうっすら朝焼けが見えます。 おはようございます皆さん、エレーヌです。でもまだ眠いので、おやすみなさい。 「エレーヌ、起きろっ!」 「ひぃぃッ」 バサッと私の毛布をひっぺがすのはアグリアス…

氏作。Part16スレより。

アグ 「それでは後のことは頼んだぞ」 ラム 「はい。道中お気をつけて」 小さな手荷物を持ってアグリアスは仲間たちを後に一人で野を進む。 ・ ・ ・ ムス 「……一体どうしまったんだろうな。アグリアスさんは。 『隊を抜けたい』なんて急に言い出して」 ラム…

氏作。Part16スレより。

チャージタイムも消費MPもなく、遠距離攻撃のできる便利で 強力な聖剣技を操るアグリアス。 姫の護衛としてラムザ一行に同行していた彼女だが 騎士道精神に溢れ、敵をなぎ倒し、しかも美しいアグリアスは パーティ内でも男女問わず人気があった。 しかしそん…

氏作。Part15スレより。

イヴァリースの四季は、どれもみな、それぞれに深い味わいを秘めていて、気の遠くなるような年月を 経ても色褪せることのないその美しさを、めぐる度に惜し気もなくわたし達に見せてくれます。 その中でも、わたしのお気に入りはやっぱり春でしょうか。清ら…

氏作。Part15スレより。

「あれっ?」 野営を設置し、荷物を探っていたラムザは間の抜けた声をだした。 「どうした、失せ物か?」聞き付けたアグリアスが声をかける。 「はあ…どうもそのようです」 「よく探してみたのか?」 「ええ…昨日はあったと思ったんですが……おかしいな」 ぶ…

氏作。Part15スレより。

陽が遠く地平線に顔をあらわした頃、アグリアスは静かに目覚めた。見なれた壁の風景。窓辺からは 鳥のさえずりが聴こえる。 ほんの少し寝床に未練を残しながらも、彼女はすぐさま毛布を払う。途端に部屋に立ち篭めていた 冷気が衣服の隙間から入り込み、彼女…

氏作。Part15スレより。

──戦いがあった。長く苦しい、世界の命運を賭けた戦いが。 城塞都市ザランダの宿、そこに人知れず巨悪と戦った勇者がいた。 「フカフカのベッドだぁー」 己の素性を隠しての長旅に疲れたラヴィアンは、真っ白なシーツの上に身を投げ出す。 そのだらしない姿…

氏作。Part15スレより。

「情勢は複雑だ。王妃と白獅子公の動きも活発になってきている」 「不測の事態にも迅速に対処出来る者でなければ務まりますまい」 「修道院から切り離れての少人数の護衛行に移行した場合も考えると、 厳しい状況だ、王女と親密な関係を築ける人間が望ましい…

氏作。Part15スレより。

高い空に、さざなみのように片々たる白雲が浮いている。秋が、日ごとに 深まってゆく。 ルンベリスの宿場町は、グローグの丘のふもと、三筋にわかれた街道のひとつが 西へ伸びてゆく、その少し先にある。 ここからヤードーへは健脚の者なら一日かからぬ道の…

氏作。Part15スレより。

アル「みんなー、夕ご飯できたよぉ」 ラム「わーい。確か今日はアグリアスさんとの合作だっけ?」 アグ「そ、そうだ。ラムザのご家族に気に入っていただけるとよいが」 ラム「アグリアスさんが愛情を込めて作った料理なんだから大丈夫ですよ」 食卓に集合す…

氏作。Part15スレより。

──山の向こうにあるライオネル城が朝靄に隠れている。 城塞都市ザランダの丘の上。そこに、一本の木が生えていた。 金糸の髪を揺らしながら、ガウンを羽織った美女が木の幹を手袋越しに撫でる。 白い朝靄に、白い息が混じる。冷たい朝の空気が彼女の肺を満た…

氏作。Part15スレより。

「アグリアスさん、行きましょうか♪」 「は?」 ラムザはそう言うとキョトンと目を丸くするアグリアスの手を無邪気な顔で引っ張る。 アグリアスは顔を赤らめ、ラムザにされるがまま付いて行くが、しかしやはり戸惑ってしまう。 「ラ、ラムザ一体、どこへ行く…

氏作。Part15スレより。

「ラヴィアンは確か編み物が得意だっただろう? 教えてくれないだろうか」 アグリアスが唐突にこんなことを言い出したのは、そろそろ冬が訪れようかという時期だった。 「はい? ええそうですが。珍しいことをお聞きになりますね。オーボンヌに居た頃に オヴ…

氏作。Part15スレ。

貿易都市ウォージリスの外れに異端者と呼ばれる者達のキャンプが張られている。 無論、異端者なので誰も経路にしそうにないところにひっそりと。 その異端者一行の隊長ことラムザ=ベオルブは遠くに見える貿易都市を確認し隊員達に告げた。 「見張り部隊を6人…

氏作。Part15スレより。

こんにちは皆さん。長かった冬が去り、今年もイヴァリースに春がやって来ました。 陽気に照らされると、無理矢理にでも元気にさせられてしまうのが春の魅力です。今日、 白羊の月の十日も、わたしにとってそんな春の訪れのような日でした。 あ、申し遅れまし…

氏作。Part15スレより。

神殿騎士メリアドールが父親の真意と聖石の秘密を確かめるべく、ラムザ一行に加わった。 最初、一方的にラムザ達を敵とみなしていた彼女は流石に馴染めるか不安の色を隠せなかったが 元々騙されていたり、自らの意志で離反しラムザ一行に入った人物も多い。 …

氏作。Part15スレより。

■アイテム士 私の名はアグリアス・オークス。全ジョブ制覇に燃える騎士だ。 世間じゃ聖騎士とか言われているが、別にそういう職業ではない。ジョブがホーリーナイトなだけだ。 だがこれからラムザと共に戦っていくには、ホーリーナイトの特性だけでは難しい…

氏作。Part14スレより。

ラムザが異端認定を受けて以来、町に入る前に、必ず斥候を派遣するようになっていた。 教会の支配力をはかり、異端者の手配書がどのような形で掲示されているのか、それによって どの程度の変装が必要かを知るためである。 しかし、今日斥候に出たラッドが持…

氏作。Part14スレより。

ラムザが行く! プロローグ 僕の名前はラムザ・ルグリア。ベオルブ家が潰れてしまったので、傭兵時代のように母方の姓を使ってる。 長く、苦しい戦いが終わった。最後の戦いの後、無事元の世界に帰ってこれたのはよかったけど……。 静かな森の中を、2人と2…