2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

氏作。Part30スレより。

ここは、逃亡生活もかなり長くなってきた異端者ラムザ隊の宿泊する宿である。 このごろはさすがに教会の追っ手も見かけなくなってきたような気がするが、しかし 油断は禁物ということで、ひとつの町に長くとも二日しか逗留しないという暗黙の了解が 守られて…

氏作。Part29スレより。

ムスタディオは、きっちり一年分の記憶と歴史がなかった。 身に着けていたものは武器を含めてぜんぶあの日のままだった。 まさに、あの爆発の直後に工房の仮眠ベッドに姿を現したことになる。 そして、わたしが戻ってきたのがその二年後ちょっと過ぎ。 おか…

氏作。Part29スレより。

「なあ、ホントに今日出発でいいんだよな?」 「ん」 新年を過ごしたガルテナーハ一族の村から船旅で戻って日も浅いまま、 荷を解かずそのままわたしたちは新しい旅支度をする。 「あのさ、リリが確信してるのはいいとして、 その日じゃなかったらどうするん…

氏作。Part29スレより。

ラムザのアホ毛がピョコンと跳ねた。こういう時は、彼の視線を追うと大抵……居た。 育ちの良さそうな町娘、貿易都市ウォージリスらしく、彼女の髪飾りにはどこかしら異国情緒を感じ、 そしてそれがまた似合っている。 線の細い、けれど良く通る、綺麗な声を出…

氏作。Part29スレより。

「アグリアス!」 「私の名前をもう呼ばな・・・!」 今にも崩れ落ちてしまいそうなかすれた声は、 声の主ごと男の胸に抱きとめられて尻切れに終わる。 「ラムザ!」 ようやく男は自分の名前を呼んでもらえるものの、 渾身の力で突き放される。 「貴方はずるい…

氏作。part29スレより。

「おじいちゃん!!」 突如として飛びついてきた娘の声は、 あまりにも彼の妹の若いころの声と似ていた。 そしてこの子の瞳は、彼女とまったく同じ、 ちょっとだけ緑がまじった南国の空のようないろ。 まさか、と思いながらもかすかな期待を否定できない自分…

氏作。Part29スレより。

養母が教えてくれた、 美しい彼女にとって生涯ただ一度の恋のおはなし。 きのう、おなじ女である自分に、 はにかむような表情で聞かせてくれた物語。 唯一のひと、身も心も赦し愛した男性は最期の戦いから帰ってこなかったこと。 せめて季節が一巡するくらい…

氏作。Part29スレより。

ちょっと緑がまじった深い青い南方の空は、 わたしとおかあさんの目の色と同じいろ。 どこまでも続く背が高いひまわりの花は、 わたしが大好きなおかあさんの髪の毛と同じいろ。 わたしとおかあさんはおそろいの帽子を被ってどこまでも歩いていくの。 木陰で…

氏作。Part29スレより。

異端者ラムザ・ベオルブには多額の懸賞金が掛けられている。当然、その首を狙う輩も多い。 今日も今日とて、彼等のキャンプには賞金稼ぎがやってくる。その命、直ぐに散らす事になるとも知らずに。 シドルファス・オルランドゥ、雷神シドと恐れられたのは過…

氏作。Part29スレより。

轟々と降る雨の中、金色のきらめきが雨水を垂らして駆けていた。 それを発見したラムザ一行。 「あ! あれはライオネル城で別れたアグリアスさんだ。敵に追われている!? みんな、アグリアスさんを守るんだ! 行くぞッ!」 銀色のミスリル装備をしたラムザ…

氏作。Part29スレより。

「ラムザ、いるか? 入るぞ」 とある街のとある宿のとある夜、アグリアス・オークスがラムザの泊まる部屋を訪れた。 無用心にも鍵が開いていたので、勝手に入らせてもらう事にする。 「すまない、今日の戦闘で借りたカオスブレイドを返し忘れた。 明日は見習…

氏作。Part29スレより。

ネルベスカ神殿での戦いで聖石「キャンサー」を手に入れたラムザ一行。 ベイオウーフの悲願であったレーゼの呪いも解け、機工都市ゴーグへと帰還した。 天球儀を前に緊張の趣を隠せないムスタディオ。 労働八号起動の際の事件を思い出して身震いをする。 「…

氏作。Part29スレより。

汚いくさいは当たり前。ついでに言やぁ、むさ苦しい。 ただ面倒くさいという理由だけで風呂もずいぶんさぼってるし 最後に洗濯したのはいつなのかもあやしい服を適当に着てる。 徒弟奉公がきつくて逃げ出したやつ、地元で面倒おこして帰れなくなったやつ、 …

氏作。Part29スレより。

「おかあさま、りんごたべたい」 やわらかくてあたたかい手のひらが あたしのおでこと頬をさわって熱をたしかめる。 まだ頭がクラクラしてる。目をあけたくない。 足音がいちどとおざかり、しばらくしてまた近づいてきた。 「ほら、口をあけて」 甘くやさし…