れっどふぉーど

氏作。Part33スレより。

「えーっと、雑貨屋はこっちでいいんだっけか?」 「この街も久しぶりだけど、あんまり変わってないわねー」 街の喧騒の真ん中で、旅人らしき三人の男女が町並みをきょろきょろと見回している。 「あまりきょろきょろするな二人とも。不審がられるぞ」 「大…

氏作。Part30スレより。

「私はおまえを信じる!」 …あの言葉は本心だった。 そう、ほんの少し前まで、私の中に存在した確固たる本心だった。 「どうしたんですか? アグリアスさん?」 その男の声は、いつものように穏やかで、まるでそこが戦場であることを忘れさせるような、 とて…

氏作。Part23スレより。

…気になる。 どうも視線を感じる。 いつから? どこから? どうして? 「…はぁあ…」 夜の酒場の一角で、ラファが男どもに囲まれながら溜息をついている。 「ありゃ、ラファちゃんどうしたの?」 「あ、いえ、なんでもないです」 「そう? ならいいんだけど」…

氏作。Part19スレより。

神妙な面持ちで焚き火を囲む5人の男女。近くのテントのひとつからは、げほげほと誰かが咳きこんでいる。 「まさかラッドが風邪をひくだけで、あんなに苦戦するとは思いませんでした」 そう言ったラムザの顔には無数の引っかき傷ができている。 彼だけではな…

氏作。Part17スレより。

とんとん。 「どなたか」 アグリアスが見向きもせず無愛想に答えると、なんの挨拶もなしにドアが開いた。 「はぁい」 とある宿屋の一室。酒も入り夜もふけて、いよいよ就寝だというそのときに、自分の部屋に現れた思わぬ珍客。 冷静を装うアグリアスだったが…

氏作。Part16スレより。

しとしとと雨が降っている。じめじめとした、気分の悪い雨。 イヴァリース南端の町ゴーグ、その町の宿屋の一角で私たちは雨宿りをしていた。 「雨、いつやむんだろ…」 ぼんやりと窓の外を眺めていると、隣に座ったラッドが呟いた。彼の顔色は暗い。 宿の奥で…