昼寝士

氏作。Part37スレより。

五人がバリアスの谷の外れにある、粗末な木賃宿に落ち着いた時には、 日もすでに暮れかかっていた。 「あー、疲れた。アグリアスさん、なんかメシ作ってくれよ」 ブーツを脱ぎ捨て、ベッドに体を投げ出すようにしてムスタディオがうめく。 ウォージリスで待…

氏作。Part30スレより。

「ラヴィアン、確か午後から買い物に出ると言っていたな?」 革鎧のつくろいをする女騎士ラヴィアンの背後から、声をかけてくる者がいた。 振り向くまでもなく、声で誰かはわかっている。ちょうど手首の合わせのむずかしいところに かかっていたので、ラヴィ…

氏作。Part30スレより。

疲れきった体でドグーラ峠をようよう越えた矢先にキングベヒーモスに出くわしたのは 災難だったが、オルランドゥ伯のおかげで何とか撃退できた。 「ザーギドスでの楽しみができたぜ。いやいや、角はもっと根元から切るんだ。 太さで値段が決まるんだから」 …

氏作。Part25スレより。

「助けてください、お願いです、何でもします」 ちいさな手を組み合わせて必死に伏しおがむ、まだあどけなさを残した少女の こめかみに、コンと冷たい音を立てて短剣が突き立った。 声も立てずに少女は倒れ、少女が拝んでいた当の相手――アグリアス・ オーク…

氏作。Part21スレより。

あまり知られていないことだが、ラヴィアンとラムザは声質がちょっと似ている。 ある時、ラヴィアンが風邪をひいてのどを痛めたことがあった。もともと低めだった声が しわがれてハスキーになり、 「そのままの方がかっこいいわ」 などと、女性陣に受けてい…

氏作。Part20スレより。

月の明るい、風のない夜だった。これという理由もなく、眠りから覚めた。 あたりはまだ寝静まっている。こういう時は、体が眠り以外のものを欲しているのだ。アグリアスは そうっと、起こさないようにラヴィアン達をまたぎ越え、足元に気をつけながら馬車を…

氏作。Part18スレより。

ツィゴリス特別女子収容所。その名を聞いて震え上がらない者はない。 どこまでも鬱々と広がる有毒湿地帯のただ中に立つ、分厚い壁に囲まれたこの無愛想な 建物は、一名を最終監獄という。その門をくぐった女が、生きてふたたび出てくることはない。 終身刑か…

氏作。Part17スレより。

ルザリア北部に広がるユーグォの森は、五十年戦争以来、死霊の徘徊する魔所として 知られている。猟師もめったに立ち入らず、近隣の農民が薪を取るために、時折おっかな びっくり森の入口付近をうろつく程度で、街道を通る旅人も少ない。 森の北側には急峻な…

氏作。Part16スレより。

ブナンザ一族は、曾々祖父の代から一流の機工師を数多く輩出してきたゴーグの 名門である。ブナンザ姓をもつ家は市内だけで十以上にのぼり、そのいずれもが立派な 工房を構えている。ほかに数家がイヴァリース各地に散らばって古代科学の遺産の研究に 精を出…

氏作。Part15スレより。

高い空に、さざなみのように片々たる白雲が浮いている。秋が、日ごとに 深まってゆく。 ルンベリスの宿場町は、グローグの丘のふもと、三筋にわかれた街道のひとつが 西へ伸びてゆく、その少し先にある。 ここからヤードーへは健脚の者なら一日かからぬ道の…

氏作。Part14スレより。

ハイ、あたしサンドラ。サンドラ・ラスカリス。 泣く子も羨むアカデミーの士官候補生。だったんだけど、戦争の始めのころに民兵騎士団の 統率なんてむっさい役目に派遣されちゃったのが運の尽き。 骸騎士団、ってあったじゃない? あれの小っちゃいやつ。昨…

氏作。Part14スレより。

深夜。 ザーギドス一を自称する汚らしい宿屋の裏手に設けられた厩へ、足音を忍ばせて 入ってくる者がある。 「レーゼ。レーゼ、元気にしているかい」 答える低い唸り声はドラゴンのもの。つい先日、晴れて異端者一行の一員となった 剣士ベイオウーフと、謎め…

氏作。Part12スレより。

なんだか幸せな夢を見て、目を醒ました。 「起きたか、ラムザ」 やさしい声がして見上げると、金色の髪を結い上げたアグリアスが微笑んでいた。 頭の上にすずしい風が吹いている。ゆうる、ゆうると団扇を動かして、風を送って くれていたのだ。 狭い庭に面し…

氏作。Part12スレより。

吾輩はチョコボである。名前はボコという。 どこで生まれたのかあまり定かでない。なんでも薄暗い巣の中で、卵の殻を尻にのっけて クエクエ鳴いていたことだけ覚えている。それが長ずるに及んで吾輩の住処となった アラグアイの草原でないことだけは確かだが…

氏作。★FINAL FANTASY 壱〜壱拾&拾壱エロパロ小説スレより。

ランベリーの東端、国境にほど近い山裾に、名前もない村がある。 五十年戦争当時に砦が築かれたが、幸いにして戦場になることもなく、戦が終わると同時に ゆるやかに寂れていって、今は牛とチョコボを飼う農家が点在するだけの、静かな村である。 その平和な…

氏作。★FINAL FANTASY 壱〜壱拾&拾壱エロパロ小説スレより。

巨蟹の月一日、深更。 ウォージリス市街を望む小高い丘の上、月明かりの差し込む宿の一室に、押し問答をする 一組の男女の姿があった。 「そ、そんなこと……」 「いいから言うとおりにしろっ」 正確に言うと、押し問答をする全裸の男女の姿があった。 騎士ア…