氏作。Part26スレより。

・誕生編



人の夢と書いて儚いというが、儚いのはむしろ人の命だ。
長い年月を武で積み上げてきても、ちょっとした事ですぐ命を亡くす。
救いがあるとしたら、人は、業を石に託して伝えられるという事。

日和ってものがある。洗濯日和の晴天とか、悲劇日和の雨天とか。
今日起きた出来事は悲劇だ、だが晴天だ。
蒼穹の下でラムザ・ベオルブは、死んだ。
命を奪ったのは一本の矢。敵が後ろから放った矢が、心臓を一突き。治療の手立ては無い。

「ゴホッ……」
ラムザ……死ぬな、ラムザ
副隊長を務めるアグリアスは、ラムザの手を握り締めた。
ラムザは握り返そうとしたが、できず、わずかに視線だけ彼女に向ける。
「ルカ……ヴィ、阻止……アル、マ……お願、い……しま……」
それが最期の言葉。
ラムザ? ラムザ! くっ、何とかならないのか!? フェニックスの尾は!」
「もう無理ですよ、隊長」
部下のアリシアが、残酷な現実を告げる。
「そうだ、聖石……! ラファがマラークを生き返らせたように、聖石は!?」
「残念ながら聖石の使い方は解りません。アグリアス様、持ってみてください。聖石が光れば……」
「聖石よ、頼む、ラムザを……ラムザを助けてくれ!」
聖石は応えない。ただの水晶として煌くだけだった。


副隊長アグリアス
その部下アリシア
同じくラヴィアン。
ラムザの戦友ラッド。
旅の中知り合った機工士ムスタディオ。
暗殺者として育てられたラファ。
暗殺者として敵対したマラーク。
皆、涙する。
ラムザ・ベオルブの死を涙する。
こうして歴史の裏の英雄ラムザ・ベオルブの生涯は、ラムザ・ベオルブの物語は、終焉を迎えたのである……。



   G A M E   O V E R



「このまま終わってなるものか!」
アグリアスは猛り、自分の長い後ろ髪を掴むと、ナイフでバッサリと切り落とした。
肩にもかからぬ短さになった髪。まるで男のように短い髪。
アグリアスは宣言す。
「今から私がラムザ・ベオルブとなり、邪悪なルカヴィとの闘いに終止符を打ち、アルマ様をお助けする!」
何言ってんのこの人。と、みんなが思った。でも何だか盛り上がってるみたいなので言わなかった。

   ラムリアスが行く!
   こんな暴挙に出るアグリアス様を見て「馬ッ鹿じゃない?」と思いました篇

そしてラムザの遺体はクリスタルとなった。
アグリアスが継承した。
アグリアスはガッツを使えない、っていうか基本技も使えない。
ろくなアビリティは継承できませんでした。













・本気でラムザさんのフリしちゃってるけど騙される馬鹿なんていないよねと思ってたら馬鹿がいた篇



髪を切ったアグリアスだが、ナイフで切っちゃったもんだから変な感じで、後からアリシアに整えてもらった。
今は亡きラムザに似せるように。
しかしラムザの跳ね毛だけは再現できず、これではラムザに成り切れないとアグリアスは嘆いた。
その時、奇跡が起こったッッ!!
ラムザのクリスタルを継承したアグリアスだからこそできる芸当ッッ!!
アグリアスの髪が一房、跳ね毛となってピンッと勃つッッ!!
「よぉしこれで誰が見てもラムザに見えるだろう、ハッハッハ」
見える訳ないじゃん。と、アリシアは心の中でツッコミを入れた。

「貴様がラムザ・ベオルブだな!? その髪、間違いない!」
「何者だ貴様は!」
「私はメリアドール! 貴様に殺されたイズルードの姉だ! 弟の仇は取らせてもらう!!」
騙されてる人登場。みんな呆れた。
一応、鎧で胸を押さえつけてるけど、よく見ればアグリアスが女だって解るじゃないか。
「食らえ強甲破天突き!」
「ぎゃー」
あ、鎧が壊れた。鎧に押さえつけられていたふくよかな胸が現れる(ちゃんと服を着た状態でですよ)
「な、何ィッ!? ラムザ、貴様……女だったのか!?」
「しまったー!」
「……女の身でありながら、あれほどの激戦を潜り抜けてきたというのか」
「うん、まあ、そう」
「くっ……この勝負、ひとまず預けた!」
動揺して退散するメリアドール。何だかなー、とアリシアは複雑な気持ちになった。
一方ラヴィアンは何かツボに来たらしく笑いを堪えている。
そんなこんなでメリアドール戦突破!!










チョコボの大群が最強の敵ってゲームバランス的にどうよ篇



メリアドールを撃破した(してない)アグリアス一行はフィナス河へとやって来た。
チョコボがいっぱい待ち構えてた。
「おおうっ、これは恐ろしい」
アグリアス様、腕の見せ所ですよ。ラムザさんならきっとうまく立ち回ったでしょうから」
「よしじゃあボコ出撃。んでボコのおかげでいつの間にか増えてた黄チョコボと赤チョコボも出撃。
 これぞ目には目を、チョコボにはチョコボを大作戦!
 さあ! 回復役の黄チョコボと攻撃役の赤チョコボの極悪コンボの恐ろしさをその目に刻めッ!」
こうしてアグリアス達はチョコボ合戦を観戦した。
そして特に何もせず勝利を収めた。
生き残ったのはボコだけだった。
「よしじゃあ今日の晩ご飯はチョコボの丸焼きね」
さすがアグリアス様だとアリシアとラヴィアンは感心した。
その日の夕食当番はラッドで、焼いた肉に塩を一振りしただけとか豪快な料理を出したりしたが、
それはそれでシンプルな味わいがあり評価は上々だった。
チョコボの肉を三人前は食べたアグリアスは満足気に言う。
「うん、この調子ならまたチョコボを繁殖させて突撃させて食してもよいな」
翌朝、ボコの姿は無かった。
離反したようだ。











・親友の目が節穴でもない限りと思ってたら全力で節穴だったりするから困る篇


ゼルテニア城、町外れの教会。
ラムザがそこでディリータに会おうとしていたらしいので、
ラムザに扮するアグリアスもとりあえず教会に来てみたのだが、
アリシアもラヴィアンも「さすがに親友なら見分けつくでしょ」とツッコミを全力で入れた。
ディリータラムザアホ毛を見て、普通に話し出す。
「……“異端者”と呼ばれる人間が教会に来るとはな。いい度胸だ」
「そうだ、私、僕には時間がない……。単刀直入に聞くぞ、ディリータ
 貴公をゴルターナ軍に送り込んだ教皇の狙いは何なんだ?」
「……何か他人行儀になってないか? まあいいが、それを聞くために危険を冒してゼルテニアに来たのか。
 ……いいだろう、教えてやる。俺の任務はゴルターナ公とオルランドゥ伯の暗殺だ……」
教会の外で見張りと盗み聞きをしていたラッドは、懐からペンと紙を取り出した。
(こいつら壊滅的に駄目だわ……)
その後、ラッドが見張っていたはずなのになぜか教会が包囲されて、
異端審問官ザルモゥが教会の天辺にいたりした。
こいつも目が節穴らしく、アグリアスの変装を見抜けず、異端者ラムザとして認識してきた。
という訳でアグリアスラムザにはできぬ必殺技を放つ。
「無双稲妻突き!」
「ぎゃー」
それを見て――幼馴染みであり親友である男が驚いた。
「ら、ラムザ……お前……」
「あ、いや、これはその……」
「ついに聖剣技を使えるようになったのか、よかったな」
「そ、そうなのだ。わた、僕もついに聖剣技をマスターしたのだ」
その後、敵襲を知らせなかったラッドを叱りに見張り場所へ行ってみると置手紙があった。
『お前等のアホさ加減にはもうついていけん。アバヨ』
辞表だった。


ちなみに竜騎士のラッドは、
竜の髭(レッドドラゴン密漁レア)とクリスタルヘルム(現段階では売られていない)と、
ブレイサー(5万ギル、この前買ったばかり)を装備したままだった。











・ラファはちゃんと使えばとても強い子ですからまだ使ってない人は今度使ってみてください篇



ここで唐突に"元"レギュラー紹介。
リーダー:ラムザ 副リーダー:アグリアス 前衛:ラッド 後衛:ムスタディ
残る一枠をアリシアとラヴィアンが適切に埋めていた。
それが今はラムザが死に、ラッドが出奔。ついでにボコも出奔、他のチョコボは全滅。
んでこうなった。
リーダー:アグリアス 前衛:アリシア 前衛:ラヴィアン 後衛:ムスタディオ 穴埋め:ラファ
明らかに戦力不足である。暗殺者として育てられた兄妹の能力は使いにくく、アグリアスでは使いこなせない。
そんな彼女達を待ち受けていたのは、ベッド砂漠での猛毒バトル。
機工士バルクのブレイズガンの威力たるや恐るべし。
アグリアス様、どうします? このままでは全滅ですよ」
「落ち着けラヴィアン、こういう時こそ冷静に対策を練るのだ!
 ……………………ラファ、真言を敵リーダーに全弾命中させたら何とか倒せないか?」
「運頼みー!?」
あまりにもお粗末な作戦に驚き惑う仲間達。

結果
天鼓雷音1発目命中。
天鼓雷音2発目命中。
天鼓雷音3発目命中。
天鼓雷音4発目命中。機工士バルク死亡。
天鼓雷音5発目失敗。ただし死体の上で炸裂。
天鼓雷音6発目失敗。ただし死体の上で炸裂。


この戦闘のおかげでラファが穴埋めから主戦力に格上げとなった。












・伯が大好きだけど今回は思いっきりキャラクターぶっ壊して遊んでみよう篇


いよいよベスラ要塞突入! 攻略開始! 攻略完了! シドルファス・オルランドゥ伯救出!
「おおっ、そなたがラムザか。一目で解ったぞ。そのアホ毛……若き日のバルバネスを見ているようじゃ」
「それで、伯、わた……僕に力を貸してくれますか?」
「いいですとも!」
月から電波を受信したかのような返答。
そんな感じでミスターバランスブレイカー雷神シドが仲間に加わった!


街について宿に入ってすぐの出来事。
「さてラムザよ。バルバネス亡き今、ベオルブ家と関係を断った今、私がお前の父親代わりだ」
「は、はぁ。光栄です」
「という訳で一緒にお風呂に入って背中流しっこしようか」
「お風呂、ですか? 申し訳ありませんが遠慮させていただきます」(偽者だとバレてしまう)
「よいではないかよいではないか。私はお前のオムツだって換えた事があるんだぞ」
鎧を盗む。
「キャアッ!?」
「これこれ、年頃の男が女子のような悲鳴を上げるでないわ。さあ脱げ脱げ」
「ちょっ、やめ、ヒャアッ!?」
「年頃の若い男がこのようなフニフニとした軟弱な身体をしていてはいかんな。私が鍛えなおしてやろう」
「ど、どこを触っているのですか伯っ!? そこは、あっ」
「いざ男同士の裸のつき合い入浴タァーイム!」
なぜか上気した笑顔のオルランドゥ伯の脳天に二本の剣が炸裂する。
『ツイン・ヘッドブレイク!』
当たり所が悪かったらしくオルランドゥは戦闘不能に陥った。


「た、助かった……ラヴィアン、アリシア、ありがとう」
オルランドゥ
「いえいえ。それにしてもオルランドゥ伯、胸とお尻を触っても気づかないなんてボケてるのかしら?」
「むしろ解ってて触ってたんじゃないですか?」
オルランドゥ
「もしかしたらそうかもしれん。とんでもない助平親父だ……正直幻滅した。
 しかし、どうしたものか……私がラムザではないと気づいているにしてもいないにしても、身の危険を感じる」
オルランドゥ
「絶対気づいてますってこのエロ爺」
「気づいてないならないで余計にタチ悪いけれど……」
オルランドゥの肉体は宝箱に変化した……。
「あっ」
「ヤバっ」
「あー……」
しばし宝箱を見つめる三人の美女。それから気まずそうにお互いの顔を見て、
ラヴィアンが苦笑いを浮かべながら宝箱を開ける。
エクスカリバーを手に入れた!
「ば、ばんざーい。よかったですね、レアアイテムが消えなくて」
「う、うむ! よかったエクスカリバーが消えなくて!」
無理やり納得しようとしているラヴィアンとアグリアスを見て、アリシアは額を押さえて考え込んだ。
「うぅ〜……まあ世間的には死んでらっしゃるお方だし、真実を闇に葬るのはそう難しくはない……よね?」


ブレイブストーリー シドルファス・オルランドゥ
通称“雷神シド”。
南天騎士団団長にして、先の五十年戦争ではバルバネスやザルバッグらと共に敵に恐れられた無敗の将軍。
ゴルターナ公に対して謀反を企てた容疑により失脚し、ベスラ要塞に幽閉されるが、
義理の息子オーランとラムザの活躍により脱出した。
その後ラムザと行動を共にするがアグリアスのおっぱいと掴んだ直後、ヘッドブレイクを受け死亡。
死に顔は穏やかだった。














・誘惑されたオルランドゥ伯が味方に全剣技で大惨事だったファーストプレイは遠い過去篇


色々あってランベリー城に到着したアグリアス一行。
「来たわね坊や」
「熱いベーゼで誘惑して上げるわ」
迫り来るセリア&レディ! 彼女等はラムザ(に変装したアグリアス)の武器を見て思った!
(あれはエクスカリバー……オルランドゥ伯から譲り受けたのね)
(伯の姿が見えないけれど、それは好都合。エクスカリバーを持つラムザ・ベオルブを誘惑すれば……)
という訳でセリアとレディは積極的にラムザ(に変装したアグリアス)に誘惑をかけた!
「うっふ〜ん」
「あっは〜ん」
「それがどうした! ぬおりゃぁ〜!!」
「馬鹿な、誘惑が効かない!? 我々の誘惑に込められた魔力に抗える人間の男なんて存在しないはずよ!」
「奴の装備はエクスカリバーの他は特殊効果の無い鎧兜、そして移動力を高めるゲルミナスブーツ!
 どうやって精神異常を防いでいるというの……?」
「貴様等の貧相な色気に惑わされるほど落ちぶれておらんわ!」(セクシーボディが妬ましいからこう言ってやる!)
「言ったわねチェリーのくせに!」
「こうなったら意地でも誘惑してやるわ!」
「無駄無駄無駄ウゥゥゥリャァァァ〜〜〜ッ!!」
通用しない誘惑を続けるセリア&レディを、一方的に斬りつけるアグリアス&ラヴィアン&アリシア
その横でアパンダ掃除をがんばるムスタディオとラファ。
狙撃と真言だけで対抗するのは至難であり、そりゃもう凄まじい死闘を繰り広げていた。
しかし2対4では絶対的に不利! ついにムスタディオが敵に囲まれてしまった。

「ムスタディオさん!」
「構わねぇ! ラファ、俺ごとこいつらを殺るんだ! 天鼓雷音を使え!」
「でも、でもそんな! 私にはできない! 瀕死のムスタディオさんに一発でも真言が当たったら……!
「へっ……当たらねぇ事に賭けるしかねぇよ。さあやるんだ! このまま俺が殺されたら、次はみんなが危ない!」
「ムスタディオさん……」
「……頼んだぜ……ラファ……!」
「し、死の記憶に眠る音の響きの全てを、閃光とともに降ろさん……天鼓雷音!」
閃光がほとばしる。
スタディオの四方を囲む四匹のアパンダに一発ずつ命中していき、二匹が倒れた。
五発目の閃光でもう一匹仕留める。
「やった……!」
これで六発目が放たれないか、最後の一匹に当たるか、外れるかすればムスタディオは助かる。
だが――残酷にも閃光はムスタディオの身体を引き裂く。
「ぐああああああっ!!」
「イヤァァァッ! ムスタディオさぁぁぁんっ!!」
無防備にもムスタディオに駆け寄るラファ。それを見て、最後に残ったアパンダが疾駆した。
真言により仲間を屠った人間の娘への復讐心に燃えている。
「しまっ――」
ラファは死を覚悟した。だが、銃声がアパンダに血飛沫を上げさせる。
倒れたままのムスタディオが、最後の力を振り絞ってアパンダを攻撃したのだ。
「ああっ! む、ムスタディオさん……」
「へ、へへ……三匹も、仕留めるたぁ……さすが、だな……ラファ……」
「ムスタディオさん、ごめんな、さい……私が、私の真言のせい、で……」
「気に……すんじゃねぇよ。やれっつったのは、俺……だし……な……」
「ムスタディオさん……」
「俺のクリスタル……頼むぜ? ショートチャージを継承するんだ……。
 真言の出が、早く……な………………」
「……ムスタディオさん?」
スタディオの肉体はクリスタルに変化した……。
「い、いや……ムスタディオさん。うぅっ……ひっく、うぁあ……」
ラファの頬からこぼれた雫がクリスタルを濡らす。するとクリスタルが光り輝き、語りかけてきた。
(いいんだ、ラファ。お前のせいじゃないさ……俺はあの世から、ラムザと一緒にお前達を見守っている)
「ムスタディオさん……」
(もう……お迎えが来た、逝かねぇと……。お前は死ぬなよ、ラファ……)
「……はいっ。ムスタディオさん、ありがとう……」
ラファはショートチャージとその他様々なアビリティを継承した!
そして同時にムスタディオの誇り高き精神と熱く燃える魂を継承した!


一方アグリアス達は。
「悩殺☆太もも攻撃!」
「無駄!」
「後ろから抱きつき背中に胸を押しつける攻撃!」
「それがどうした!?」
「くっ、私達の攻撃が通用しないなんて……」
「仕方ない、一時撤退よ」
「逃げるか卑怯者め! ラヴィアン、アリシア、追うぞ!
 ラファとムスタディオも……あれ、ムスタディオはどこだ? おーいラファ、ムスタディオはどこだ」
なぜか天を見上げ手を合わせているラファを見て、アグリアスは首を傾げるのだった。
そしてラヴィアンとアリシアは、ラッドが自分達を見限った理由をひしひしと感じていた。



















・源氏装備を盗もうとしたけど長期戦だとエルムドアがウザくて早々にあきらめた作者は勝ち組篇



「来たかラムザ・ベオ……誰だ貴様は」
「誰も何も、ラムザ・ベオルブ以外の何だというのだ」
ようやく常識人に出会えたような気がしてホッとするラヴィアン達。
「貴様がラムザ・ベオルブであるはずがない」
エルムドアは自信満々に言い切った。
「なぜならば! あのリオファネス城の屋上でラファを守った手腕を持つ貴様が!
 そこのマラ何とかという足手まといをこの私と戦わせようとするはずがない!!」
「何だとコラッ」
マラークが怒った。だがアグリアスはそれをいさめ、答える。
「仕方ないのだ。ボコとラッドが離反し、ムスタディオが死んだ今、こいつを入れんと五人にならぬ」
「ふむ? オヴェリアに仕えていたらしいアグリアスとかいう騎士はどうした」
「あー、その、彼女も死んだ」
「なるほど、ならば囮なりアイテム係なりでそやつを使ったとしても不思議は無いな」
「そうだろうそうだろう」
「という事は貴様はラムザ・ベオルブ本人か」
「いかにもいかにも」
「ところでエクスカリバーを持っているという事は雷神シドを救出したのだろう? 彼はどこだ」
「ああ、伯も死んじゃった」
「何と、いったい誰があの雷神を?」
「私の後ろの二人が」
「その女の騎士二人か。ふふっ、面白い。たかが人間とあなどっていたわ。セリア、レディ、真の姿で相手をしてやれ」
エルムドアの命令で正体を現すセリアとレディ。その姿はまさしくアルテマデーモンだった!
「ゲェェエーコォ!?」
マラークは混乱した!
「兄さん、そんなにショックを受けるなんて……やっぱり男はケダモノよぉ〜」
(そんな事はない。ラファ、俺やラムザの遺志をお前は感じられるはずだ)by 天からの声 or ただの幻聴
「ああっ、ムスタディオさん! そうですね、私、がんばります!」
スタディオの魂(?)と会話するラファを見てアグリアスは思った。
「訳の解らん独り言を……どうやらラファも混乱してしまったようだな」












・吸血する時は歯ぁ磨けよ篇



「何だか黒いの二人が混乱しているようだが、行くぞベオルブの名を継ぐ者よ!」
「ルカヴィに堕ちた英雄よ! ここで成敗してくれるわ!」
向かい合うアグリアスとエルムドア! 今こそ決戦の時!
「ダテレポ」
「え」
「吸血」
「あふっ」
「襲え」
「サー! イエッサー!」
エクスカリバーを振りかざして襲い掛かろうとするアグリアス。狙いはアリシア
「ちょっ、何で私なんですか!?」
「処女の血じゃぁ! 処女の血を寄こせ〜!」
アリシアはチラリとラファを見た。そっちは納得した。
続いてラヴィアンを見た。なぜか知らんぷりしてる。微妙に頬が赤い。
「ら、ラヴィアン、あなた、まさか……」
「あはははは〜。セリアとレディは任せなさい! 我が奥義で葬ってみせるわ!
 大丈夫大丈夫、アグ……ラムザ様の鈍足じゃ忍者のアリシアに追いつけないから」
「だ〜れ〜が〜ど〜ん〜そ〜く〜だ〜!」
アグリアスは標的をラヴィアンに変えた!
「ぎょえ〜! あ、アリシア、たっけて〜!」
「セリアとレディは任せなさい。私の奥義で葬って上げるから〜」
「薄情者〜ッ!」
アグリアスとラヴィアンが追いかけっこしてる間に、アリシアはアイスブランド二刀流でアルテマデーモンに挑む。
「見よ! 剣装備忍者のアイスブランド二刀流+ねじり鉢巻き+力だすき+百八の数珠の超攻撃力!」
「ってアリシア! 百八の数珠装備してんなら吸血鬼の相手しなさいよ!」
「ブリザラ発動! ご覧なさい、アルテマデーモンが1ターンで戦闘不能よ!」
そんな感じでアリシアがセリアとレディを片づけ、正気に戻ったラファがエルムドアを真言で仕留めて、
その後アイテム士のマラークが聖水でアグリアスを元に戻した。そして戦場は地下墓地へ。












・メリアドールが仲間に加わったはいいけど剛剣が通用するナイトは奥の方にいるのよね篇


ランベリー城、地下墓地にて。
「へーんしん! とうっ!」ジャンジャカジャーン!「ジェミニ・死の天使ザルエラ推参!」
「きゃー、何あの怪物は!? まさかルカヴィだとでも!?」
「メリアドール、なぜここに!?」
「貴様はヴォルマルフの娘か。残念だったな、貴様の父は私と同じルカヴィとなっておるわ!」
「という事はイズルードを殺したのはラムザではなく父上だというのかー! ラムザ誤解しててすまなかった!」
「解ってくれればいいのだ! さあ一緒に戦おうー!」(よかったこれでマラークよりまともな戦力が)
戦闘開始!
「いっくぞー! 無双稲妻突きぃ!!」
「行き先が墓地だったんでアイスブランドをフレイムウィップ二刀流に換えててよかったダブルアタック!!」
「引き出す! 村正! 呪われし野望!!」
「アンデットには炎属性で攻撃! 阿修羅!!」
「う、裏阿修羅……は、まだJp足りなくて習得してない。だがしかし! 俺はフェニックスの尾を投げる!」
凄まじい攻撃力で戦う五人! そしてメリアドールは!
「あー、もう、スケルトン相手じゃ剛剣が通用しないじゃない! えい、通常攻撃」
わぁ、思ったよりこの人使えないかもしんない。と、アグリアスは思った。
「メリアドール! そんな雑魚はとっとと突破してザルエラと戦わんか!」
「でも、スケルトンが邪魔で……」
「マラーク手伝ってやれ! どうせこの戦闘が終わればお前なんぞお払い箱だからがんばれ!」
「何だってー!?」
ハートブレイクによりマラークの心が砕けた。マラーク戦闘不能
「ええい、とことん使えん奴め! ラファを見習え!」
「てーい! ショートチャージ阿修羅! ショートチャージ阿修羅!」
エルムドアの前後左右で炎が弾けまくった。
「フハハ、ちっとも当たらんぞ」
「駄目だこりゃ」
なんてやってるうちに、ようやくメリアドールが追いついた。


「はぁっ、はぁっ、助けに来たわよラムザ
 女である身を隠してベオルブの正義を貫こうとするあなたに、私の剣を預け――」
「何、女である身を隠して?」
メリアドールの言葉に反応するザルエラ。そしてラムザ(に変装したアグリアス)をジロジロ見て、
「男装美少女萌えぇぇぇぇぇぇッッ!!」
ザルエラは鼻血を吹いて倒れた! ザルエラをやっつけた!
うんざり顔のラヴィアンとアリシアは、聖石を回収しつつぼやいた。
「セリアとレディを色っぽい女性に変身させていたのは、自分の性癖を隠すためだったのね……」
「うわっ、正直幻滅。雷神といい銀髪鬼といい、まともな英雄がいない……」
「それにラムザさんの年齢なら、まあ、美少女でもいいかもしれないけど……」
アグリアス様の年齢だとねー……」


ちなみにメリアドールは心の底から『ラムザ・ベオルブは男として育てられた女』と信じ込んでるらしい。
そんなんだからイズルードも父親の正体を見抜けなかったんじゃないかとラヴィアンとアリシアは思う。
そしてメリアドールが正式加入した晩、一枚の置手紙とともに一人の男が姿を消した。


『武者修行の旅に出ます、探さないでください。
 マラーク・ガルテナーハ』



翌日。
「マラーク兄さん、今頃どこで何してるのかしら……」
「よぉし、ラファ、今日は何かおいしいものでも食べようか」
「ありがとう、アグリアスさん」
「こらこら、ラムザさんと呼ばんか。あそこのレストランに入ろう」
入店。
「いらっしゃいませ。ただいま混み合っておりまして、合い席でよろしいですか?」
「いいよ」
「ではこちらにどうぞ」
「失礼、合い席させていただ――マラーク?」
「ラファ、アグリアス?」
気まずさに耐え切れずマラークは蛙に化けて姿を隠し、街に消えた。そして食い逃げ犯として指名手配された。



















・ザルバックのステータスを除いてものまね士になれる事を知りびっくり仰天篇



メリアドールから聖石を渡されたダイスダーグに会うためイグーロス城へやって来たアグリアス達!
どうやらザルバッグも来ているようだ! さすがに実兄二人なら見分けくらいつくよね。
ラムザか! お前の言っていた事は本当だった……って、誰だお前は!?」
どうやらザルバッグは常識人だった。うろたえるザルバッグを見て、全力で喜んだのは長兄ダイスダーグ。
「見ろ! ザルバッグは実の弟すら見分けがつかんほど乱心している! 討て討て〜!」
「兄上!? アレがラムザに見えるというのか!? それとも兵を騙すための狂言か!?」
「おのれザルバッグ、真実に気づいたと思ったら今度は混乱か……」
「本気か兄上ーッ! そっちこそ乱心しているのではないか!? 貴様等、アレがラムザに見えるか!?」
苛立ちをあらわにザルバッグはダイスダーグに呼ばれて来た騎士達に問う。
「そ、その、私達はラムザ様の顔をあまり存じておりませんので……」
「基本的に仕官アカデミーにいらしたし、戻ってきてもすぐ骸旅団討伐に行っちゃったし……」
「その後はジークデン砦で行方不明になって、結構時間が経って顔立ちも多少変わってるでしょうし……」
「というより、本物か偽者か判別はできませんが、本物も異端者としてベオルブ家から抹消されてるのでは?」
「言われてみればその通り。ベオルブ家への忠誠心を思えば、真偽に関わらずラムザ様を討ち取るべきだ」
「という訳でザルバッグ様! ラムザ様! 覚悟ォー!」
迫り来る騎士達! 対するアグリアス一行は!
「とりあえずハイト差があるから聖剣技でも叩き込んどくか。無双稲妻突きー!」
「剛剣の威力を見せてあげるわ。強甲破天突き!」
「ムスタディオさんから受け継いだショートチャージを生かすため召喚も習得しました。タイターン!」
「引き出すが届かないから風水でもやっとこっと」
「えいっ、手裏剣」
本来不利な下から一方的に遠距離攻撃をする面々。あっという間に敵騎士は全滅した!
その隙にザルバッグがダイスダーグをしばき倒す。
「そ……、そんな……おまえたちが邪魔さえしなければ……」
力尽きるダイスダーグ。だがその瞬間、聖石が輝き、ダイスダーグは憤怒の霊帝アドラメレクに転生した!

『ククク……愚かな弟よ、冥土のみやげに教えてやろう。バルバネスを殺したのは……』
「ルカヴィに変身したぞ! やっかいな攻撃魔法を使われる前に瞬殺しろ! チャージ中が狙い目だ!」
『ちょっ、お前等、まだ話の途中!』
「聖光爆裂破!」
「槍に装備変更してジャンプ!」
「大地の衣装備の天魔鬼神!」
「引き出す菊一文字
「ねじり鉢巻力だすき百八の数珠アイスブランド・ダブルアタック・ブリザラ追加発動」
ウボァー
憤怒の霊帝アドラメレクを倒した!
「……で、貴様等はいったい何だ」
「ハハハ、やだなぁ兄上。ラムザですよぉ」
アグリアスの必死の誤魔化しから、ザルバッグは弟ラムザの死を悟った。
その代わりを演じるアグリアスのアホさ加減に呆れつつも、一応納得してくれた。
「聖石、ルカヴィ、アルマ……事情は解った。協力したいが、ベオルブの力ではどうにもならんな。
 ラムザは今や異端者でしかなく、その誤解を解く力も証拠も無い。
 ゲルモニーク聖典で教会の不正を暴く事はできるが、そうなるとルカヴィがどう動くか解らぬしな。
 それに兄上亡き今、私がベオルブの家を守らねばならぬ……」
「構いませんよ、私達は私達で何とかします。
 ルカヴィを倒し、教会の不正を暴き、いずれラムザの名誉も回復させましょう」
「かたじけない。餞別にこれを持って行け、父上の形見だ。きっと何かの役に立つ……」
「ありがとうございます、兄上」
ラムザのフリをするのは構わんが私を兄と呼ぶなッ! ……お兄ちゃんなら構わんが」


という訳でザルバッグ生存。果たして天騎士バルバネスの形見とはいったい!?
そして今回の一件でラムザアグリアスの変装だとメリアドールにバレてしまった!
「まあ、いいわ。一応正義のために戦ってるんだし、イズルードの仇は父上だし……」
仲間が離反したり死んだりしたけれど、ようやく順調になってきました。













・天騎士って実際どういうアビリティが使えたのかすごく気になる篇



「さて前回ザルバッグから、ラムザの父上の形見……すなわち天騎士バルバネスの形見をもらった訳だが」
「いったい何でしょうね? やっぱり強力な武器でしょうか」
オルランドゥ伯がエクスカリバー、エルムドア侯が正宗ですから……相当強力な武器かと」
期待に胸膨らませる面々。
出てくるのは騎士剣か、刀か。はたまた別の武器か。
ザルバッグから受け取った宝箱をウキウキワクワク気分で開けてみる。


『メイド服』を手に入れた!


「……ただの服だな」
「……特殊効果は特に無いようです」
「ベオルブ家で働くメイドが着ていた物のようですね」
アグリアスとラヴィアンが困惑する中、なぜかアリシアだけ瞳を輝かせている。
「どうした、アリシア?」
「え? あ、いえ、別に、何でも」
「そうか? しかし、これはいったい何なのだ。これが天騎士バルバネス様の形見とは……ハッ!」
「どうしましたアグリアス様」
「解ったぞ。助平爺のオルランドゥ伯、男装美少女フェチのエルムドア侯と来たら、
 三大英雄最後の一人たるバルバネス様もただ者ではあるまいすなわち!
 バ ル バ ネ ス 様 は 女 装 趣 味 だ っ た ん だ !!!!」
『なっ、何だってー!?』
「――ってんな訳あるかい」
驚くだけのアリシアと違い、ラヴィアンは華麗にノリツッコミを入れる。
「見てくださいよ服のサイズを。とても成人した男性が着れるものじゃありません」
「というとラヴィアン、これはどういう事か?」
「助平爺オルランドゥ伯、男装美女フェチのエルムドア侯と来て、残る一人は――」
「待てラヴィアン。なぜ"少"を抜かす。男装"美少女"でなく男装"美女"と表現する理由は何だ」
「残る一人は! メ イ ド 萌 え だ っ た ん で す よ !!!!」
『なっ、何だってー!?』


驚愕するアグリアスアリシア。解説を続けるラヴィアン。
「聞くところによると、ラムザさんとアルマ様は正妻の子ではなく、
 ベオルブ家で働いていた娘との子とか。なぜベオルブ家当主ともあろうお方が、庶民に手を出したのか。
 それはきっと、ラムザさんとアルマ様のお母様がメイド服の似合う方だったからですよ!」
「畏国の英雄にまともな者はおらんのか……。ザルバッグ殿は何を思ってこれを私に? まさか私を……!」
「単に処分したかっただけじゃないですか? 父上の形見を自分で処分するのは忍びないとかで」
「こんな物どうせ誰も着ぬし、売った方がマシかな……とりあえずこれは箱にしまっておこう」


翌朝、アリシアとメイド服が消えていた。代わりに置手紙が一枚。
アリシアは新しい夢を見つけました。鎧を脱ぎメイド服を着ます。
 さようなら。
 アグリアス様の御武運を願っております』


「まったく、勝手にいなくなりおって……」
「でも、ラッドと違って装備を置いていってくれただけよかったじゃないですか」
軽くアリシアを探し回ったアグリアスとラヴィアンは、そろそろあきらめムードになっていた。
「仕方ない。昼飯でも食べるとしよう……あの店でいいかな」
適当な喫茶店に入るアグリアスとラヴィアン。
出迎えたウェイトレスが言った。
「合い席でよろしいでしょうか?」
「構わん」
案内された。マラークがいた。
「……何をしておるのだこんな場所で」
「……茶を飲んでいる」
「……武者修行は済んだか?」
「……まあ、ボチボチ」
「……アリシアがいなくなってしまい戦力不足が激しい。来るか?」
「……うん」
マラークが再び仲間に加わった!














・ムスタディオが死んでるからサブイベント行けないので最終バトル突入すると思ってるでしょ篇



イグーロスの宿で休んでいると、ザルバッグの部下が手紙を持ってきた。
ベスロディオがムスタディオに宛てた手紙だ。
『面白い物を見つけたからちょっと帰って来い。石と関わりがありそうだ』
「――という内容だが、ムスタディオは死んでいる。ラファ、やってくれるな?」
「解りましたアグリアスさん。彼のクリスタルを継承した私に変装しろというのですね!?」
「うむ、その通り!」
こうしてラファはムスタディオに変装した!
顔立ちが異なる身長が足りない肌が黒いなぜか色っぽい全然似てない。
騙せる訳がない。
それでもダイスダーグの例もあるからレッツ・チャレンジ!


機工都市ゴーグ到着。ブナンザ宅到着。
「お父さ……親父、今帰りました、ぞ」
「……お嬢さん、何をしておるのかね」
バレました。
「ええっと……その、実はこれこれこういう訳で……」
「そうか、愚息は逝ったか……」
「申し訳ありません。私の力が足りないばっかりに……」
「もういい、行きなさい。私が発見した物は機械に詳しくなければどうにもなるまいて……」
「でしたら私が機工士になります、ムスタディオさんのようになります!」
「お嬢さん……」
「ラファと呼んでください」


「――という訳でラファがベスロディオ殿の養女になってしまったが、どうしたものか」
聖ミュロンド寺院への道中、アグリアスは嘆くように言った。
「ボコが離反し、ラッドが装備を持ち逃げし、オルランドゥ伯が事故死し、ムスタディオが死に、
 ついにはラファが養女に出てしまった……」
それをラヴィアンが慰める。
「まあ何とかなりますって。メリアドールの剛剣は対人で鬼のような強さですし」
「ルカヴィ戦では役に立たぬ」
「ま、マラークも武者修行でパワーアップしたじゃないですか!」
「モンクになったらしいが、ブレイブだって特別高い訳じゃないし」
「侍の私じゃ戦力になりませんか?」
「引き出すしすぎてもう刀残ってないぞ」
「……」
「……竜騎士ジョブチェンジしましょうか?」
「ラッドが竜の髭を持ち逃げした事を思い出すからやめて」
「じゃあ風水士」
「聖剣技の下位互換みたいなものではないか。忍者にはまだなれぬのか?」
「弓使いとシーフのジョブレベルが足りません。攻撃力不足のこのジョブで稼ぐ余裕はもう無いですし」
「魔法系……」
「詠唱覚えられません」
「じゃあナイトだな。アイスブランド両手持ちで戦えば攻撃力は十分だろう」
「盾が無いと怖いじゃないですか」
「白羽取れ」
「それも怖いからヤです。素手で攻撃を掴むだなんて正気の沙汰じゃありません」
「じゃあ白羽取りの練習しようか私のエクスカリバーで」
「ごめんなさい勘弁してくださいちゃんと白羽取りで戦いますから」
こうして何とか戦力を整えるアグリアスだった。
さあ、いよいよ聖ミュロンド寺院突入の時! 最終決戦は近い……。

















・勧誘したり斡旋所で雇ったりした汎用ユニットってよく最後まで着いてきてくれたよね篇



ラムザに変装したホーリーナイト、アグリアスオークス
これでも一応アトカーシャ王家直属ルザリア聖近衛騎士団の一員のナイト、ラヴィアン。
元神殿騎士で剛剣が超強力なブラコンディバインナイト、メリアドール・ティンジェル。
元暗殺者の天冥士だけど弱いからモンクにジョブチェンジ、マラーク・ガルテナーハ。


いざ聖ミュロンド寺院へ突撃!


「と思ったが、さすがに四人で突撃するのは考えものだ。あと一人参加させられるし」
「じゃ、斡旋所で誰か雇います? アイテム士にしてポーション係にでも。
 あと銃を装備させれば攻撃力も確保できますよ」
「それ採用」
こうしてアグリアス達は戦士斡旋所に立ち寄った。


「はじめまして、ジョアンといいます。
 傭兵になりたてほやほやでの未熟者ではありますがよろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしく。はい、とりあえずアイテム士にジョブチェンジして装備変更ね」
「えっ、これはシーフの帽子!? 服は黒装束! アクセサリにフェザーマントですか!?」
「それとこれ、ミスリル銃ね。しばらくは後方支援をやってもらうから」
ジョアンは感激した。まさかペーペーの自分にこんないい装備が回してもらえるなんて!
五人姉妹の末っ子である彼女は、いつも姉のお下がりばかり。
初期装備だって姉からのお下がりなのだ。
それぞれ傭兵、時に騎士にまで出世して武勲を立てている姉の恥にならないよう、
ジョアンはがんばろうと思っていた。
そしてこんなにも凄いパーティーに雇われるだなんて!
これはチャンスだ。いっぱい稼いで、母に仕送りをして、姉達に認められて。
人生バラ色になりそうな予感がしてジョアンは震える。
まずは後方支援。戦場の華ではないが、これもまた重要な仕事だ。こういう下積みがいずれ血となり肉となる。
「ではさっそく突入するぞ。正面突破だ、私に続けー!」
ものすごい名刀と思われる騎士剣を振りかざしてとある建物に突撃するラムザ隊長。
何か特殊な剣技を使って雷を落としたり氷を落としたりして戦ってる。凄いスピードで。
続いてナイトのラヴィアンさんは両手持ちしたアイスブランドで敵をバッサバッサと斬り倒す。
さらにメリアドールさんも剣技が使えるようで、敵の装備を次々と粉砕する。
最後に黒い人は地面を殴ってる。何してるんだろう? サボり?
遠くで敵が勝手にダメージ受けてるように見えるけど、後方支援のジョアンの位置からじゃよく解らない。
「さあ、私もがんばらないと!」
とりあえず銃を撃ってみるが、なかなか当たらない。と思ってたら屋根にいた敵兵に当たった。やったね!
さらにダメージを受けて一時撤退してきたメリアドールさんにポーションを投げ渡す。
いっぱい行動してジョブポイントを貯めて、早くエクスポーションを投げられるようにならないとね!
どうやら敵も味方も相当レベルが高いらしく、ジョアンのレベルもガンガン上がる。
(これならお姉ちゃん達に追いつくのも時間の問題かも。なんてね、キャハッ)
そして戦闘終了。遠くから援護していたジョアンも、ようやく前に出る。
敵兵が使っていた建物を見る。
教会だった。


「ほえっ?」
聖ミュロンド寺院だった。
「ええっ?」
全滅した敵兵達は聖ミュロンド寺院の神殿騎士団だった。
「何でーっ!?」
ラムザさんは正義のために戦うと言っていたのに、何で教会を襲撃してるんだろう。ジョアンは混乱した!
「これジョアン、そんな所で混乱してないで教会に入るぞ」
「え? で、でもラムザさん。これって、悪い事なのでは――」
と、ジョアンの足元でうめき声がした。まだ死んでない敵兵がいたのだ。
「お、おのれ……異端者ラムザめ。ベオルブの名を穢し、神に弓引くとは……アジョラの天罰を受けよ……ガクッ」
青ざめるジョアン。
異端者? 異 端 者 ラ ム ザ ?
そういえば、とジョアンは思い出す。北天騎士団のベオルブ家の兄弟の誰かが異端者になったとかという話を。
「あ、あのー……ラムザさん。失礼ですが、ファミリーネームは何でしょう?」
「オーク……いや、ベオルブだが?」
ガツーンッと脳天をハンマーで殴られたような錯覚に陥るジョアン。
(お母さん、お姉ちゃん……ジョアンは、異端者の仲間になってしまいました……)

















・神殿騎士三人をエクスカリバーで先制した伯が無双稲妻一網打尽したファーストプレイと似た展開篇



  聖ミュロンド寺院にて相対するアグリアス一行と、神殿騎士ヴォルマルフ達。
「貴様がラムザか……。会うのは初めてだったな?
 ディナーにでも招待したいところだがあいにく多忙でね……。許してくれ……。
 そんなわけで、貴様の相手をしている時間が惜しい。用件だけ伝えよう。
 妹を返して欲しくば、貴様が持っている『ゲルモニーク聖典』とすべての聖石を渡すのだ……。
 言っておくが、貴様はこの要求を拒絶することはできん……。渡さぬときは妹の命はないと思え。
 さあ、私の言葉を理解したならさっさと渡してもらおうか……」
「アルマ様はどこだ! どこにいる?
 無事な姿を確認できない限り、聖典も聖石も渡すことはできないッ!」
「ん? アルマ……『様』?」
「あっ、しまった」
早速失言。
「……そうか、そういう事か。ラムザ、貴様は……。
 妹 の 尻 に 敷 か れ て お る の だ な !?」
「そ、その通り!」(本当は違うけどそう勘違いしてくれるならそう言ってやるか)
ヴォルマルフが勘違いしてくれたので話しに乗った。するとヴォルマルフは目頭を押さえてうつむく。
「解る、解るぞ。我が肉体も妹の尻に敷かれておってな……どうにも不憫でならぬ。
 聖石を使って私に肉体を渡したのも、妹の尻から逃れたいためでな……」
「そんな理由でルカヴィとなったのですか、父さんは!」
ここで会話イベント発生!
正式に加入してから戦場で会話するキャラはアグリアスとメリアドールだけというレアイベントだ!
「悪いか! 私とて男としての意地があったのだ」
「何ですかその全力で小物な意地は! そんなだから母さんに逃げられるのです!」
「違う! 妹の性格が悪いから妻が逃げたのだ!! 断じて私のせいではない!!」
「いーえ、あなたのせいです! まったく。こんなヘタレを肉体に選んだルカヴィも、たかが知れてますね」
「何だと!? 器となったヴォルマルフの悪口ならともかく、私の悪口は許さんぞ!」
口論する親子を見てアグリアスは哂った。


「隙有りぃ〜! 無双稲妻突き!」
「えーと、アクションアビリティ風水で攻撃ー」
「疾風! 地裂斬!!」
三人の攻撃を受け、クレティアンとローファルが戦闘不能になる。
「ぬうッ! 陽動作戦とは考えたなメリアドール! ここは引かせてもらう!」
「ま、待ってください、ヴォル……」
「クレティアンしっかりしろ!」
聖典……聖典が無ければ"血塗られた聖天使"が……」
「しまった、そうだった。アルマを返して欲しくばゲルモニーク聖典と聖石を渡せ!」
シリアスな顔を作って叫ぶ
「断る! アルマ様を返せ! ご無事を確認させろ!」
「貴様に拒否権など無いのだ。聖典とすべての聖石を渡せ!」
「断る! テロリストの言い分は一切聞かないのは大人から子供までみんな知ってる世界的常識ッッ!!」
「テロリストはお前達の方だろう! 私は神殿騎士団だぞ!?」
「ルカヴィのお前の方がテロリストよりタチ悪いわ!」
「いいから渡せ! さもないと……貴様の妹がどうなっても知らんぞ!」
「アルマ様に何をする気だ化物め!」
「私が妹から受けた屈辱を、アルマ・ベオルブにも味あわせてやる!」
「具体的にどういった事を?」
「コーヒーの砂糖を塩と入れ替えたり、目玉焼きにかける塩を砂糖と入れ替えたり、
 赤味噌白味噌に入れ替えたり……数え上げればキリが無い!
 解るか? つまり、私はアルマから健全な食生活を奪おうというのだよ!」
「……外道めッ! 解った、聖典を渡す! 聖石はアルマ様のご無事を確認してからだ!」
アグリアス聖典を投げ渡すと、ヴォルマルフは聖典をローファルに渡した。


「どうだ?」
「……ありました。大丈夫、簡単な呪文です……グッ、ぬぅ……」
「傷が痛むのか? 早々に引き上げるぞ」
「待てヴォルマルフ! アルマ様はどこだ!」
アグリアスの制止を聞かず、ヴォルマルフ達は姿を消す。
「あぐっ、しまった……。アルマ様をお助けせねば天国のラムザに申し訳が立たぬ」
そこでようやく、前回仲間にしたジョアンが反応した。
「ちょっ、天国のラムザってどういう意味ですかラムザさん!?」
「気にするな。それよりヴォルマルフ達がどこに行ったのか情報収集するぞ」

で、教皇を発見するアグリアス達。で、ジョアンはビックリ仰天。
「きょきょきょきょきょ教皇!? 教皇様!? ああ、新聞で見た事ある……この顔、間違いないです。
 ちょっ、どうするんですかラムザさん! 教皇が、教皇がっ、大事件ですよぉー!」
教皇よ、ヴォルマルフ達がどこに行ったか知らぬか?」
「死にかけてる教皇を手当てもせず尋問するとは何事ですかー!」
「知っているのなら吐け! 吐くのだ!」
アグリアスに問い詰められ、瀕死のフューネラルはうめく様に答えた。
「し……し……神殿……」
「どこだそれは?」
「オ……オーボン……ヌ……」
「……オーボンヌ修道院か……まさかまたしても始まりの地に戻る事になるとはな」
冷静に死を見取り帰ろうとするアグリアスの手を、ジョアンが掴んで止める。
「何なんですかぁ〜! 私、これからどうなるんですか〜! 何に巻き込まれてるんですか〜!」
「ここまで知った以上、もはや引き返れぬ。最後までつき合ってもらうぞ」
「イィィィヤァァァァァァッッ!! 私をお家にかーえーしーてー!」
「さあ行くぞジョアン! ルカヴィ討伐だ!」
「傭兵デビューして数日で何でそんなヘヴィな、って、ルカヴィなんか実在する訳……するの?
 するんですか!? ねえ、ちょっと、何ですかその目は。どういうんです、ルカヴィ、いるんですか!?」
「ハハハ貴公は後方からエクスポーションを投げていればよい。しっかり守ってやるから安心せい」
「お姉ちゃーん助けてぇぇぇっ!!」



















・人知れず選ばれし者篇



貿易都市ドーターにて……いつぞやのように、待っている者がいた。
王女オヴェリア救出を妨害する傭兵、アルマとゲルモニーク聖典を引き換えにしようとした暗殺者。
しかし今回待っていたのは……離反した傭兵ラッドだった。
「よぉ、まだ"ラムザ"やってんのか?」
「ラッド、貴様……」
「俺がついて行くと決めたのは"ラムザ"だ。"ラムザちゃん"じゃあないぜ。
 ところでその新入りは何だ? 神殿騎士さんの方は一度戦った身だ、イズルードの誤解が解けたんだと解る。
 だがそっちのアイテム士……見たところ半人前も半人前だが」
「失敬な! 何ですかあなたは!」
ジョアンが噛みつく。ラッドが苦笑する。
「フッ……威勢だけはいい。なるほど、姉貴に似てるな」
「は? 姉のお知り合いで……同業者の方?」
「以前何度か(性的な意味で)。それはそうとラムザちゃんよ、渡したいものがあるんだ……」
ラッドが懐から取り出したのは、クリスタルだった。
「その輝き、その印、まさかそれは……聖石アクエリアス!?」
「ゴルランドの炭鉱で手に入れたんだ……こんな物騒な物はいらねーが、捨てるにしても危険すぎる。
 だから――やっかい事を押しつけるようなもんだと承知で、あんたに預けたい。いいか?」
「……構わんが、だが、仲間に戻る気は無いのか?」
「悪いが今、ちょっと恩義のあるお方の下で働いててな……世界の命運なんざ、俺には重すぎらァ」
「そうか」
「という訳で、俺は俺でよろしくやるさ。旦那さんが新しいメイドを雇ったんでな、ちょっとサポートしねぇと」
「……それはどういう経緯でだ?」
「偶然、さ。雇い主を探してたから、紹介してやっただけだ。じゃあな、もう行くぜ」
「待てラッド、最後に、もうひとつ……」
アグリアスはラッドに詰め寄り、力強い口調で言う。


「竜の髭返せ」
「高低差無視ジャンプ。ではさらばだフハハハハ」
「無双稲妻……くっ、逃げ足の速い奴!」
こうしてアクエリアスを入手すると共に、ラッド達がうまくやっていると知り安堵するアグリアス
「うぅ〜……さて、アクエリアスが手に入ったが……ジョアン、これが気になるのか?」
「あ、え、ええ、綺麗だなーって……これ、聖石なんですか?」
「うむ」
「ハハハ、まっさかー。聖石ってのは枢機卿とか教皇とか、そういう人が持ってるべき物で……」
「いっぱい持ってるぞ。ほれほれほれ」
「……全部、本物?」
「もちろん」
ラムザさんっていったい何者なんですか。異端者って言われてますけど、ただの異端者じゃありませんよね」
「歴史を裏から操る邪悪と戦う正義の味方さ」
「……はぁっ」
「仲間になって日が浅いジョアンにも正義の味方の自覚を持ってもらうため、これを預けよう」
「ちょっ、アクエリアスを、私に? こんな大事な物を?」
「どーせいっぱいあるしー。私一人で持ってるのもアレだからメリアにもいくつか持たせてるし」
「は、はあ……」
「これでもう逃げられないな、ジョアン」
「え、そ、そんな!? ヤですよ私、あんまり深く関わりたくないですよ」
「戦力不足なのだ。せめてオーボンヌ修道院攻略までは力を貸してくれ」
「は、はぁ……まあ、それくらいなら……」
彼女は知らない。オーボンヌ修道院へ行ったらもう帰れない事を。















・この辺まで来ると制限プレイでもしてない限り苦戦なんてそうそうしないよね篇



オーボンヌ修道院へ突入するアグリアス一行! 立ちふさがるは神殿騎士ローファル!
「待っていたぞ、異端者ラムザよ。これより先には進ません! この地下で永遠の眠りにつくがいい!」
総攻撃開始。
「伝家の宝刀無双稲妻突きぃ!」
「ナイトじゃつらいんで竜騎士ジョブチェンジしましたジャンプアタック!」
「武器を壊せば畏るるに足らず! 冥界恐叫打!」
「裏真言が弱いからってなめるなよ! 疾風、地裂斬!!」
「……ミスリル銃で狙撃します」
ローファル戦闘不能
「ああっ、ローファル様がやられた!」「ちょっ、早ぇよ!?」「どーすんべこれから」
混乱する神殿騎士団。しぶとく何かを企むローファル。
「……ここで、死ぬわけにはいかん。まだ、役目が終わっていないのだ……。
 異端者ラムザよ……貴様を地獄に……招待してやろう……」
「ぬうっ、何をする気だ!?」
「……ファルオス・ケオス・デ・バンダ! ゾーダ・ラムド・フェオリオ……。
 我は時の神ゾマーラと契約せし者、悠久の時を経てここに時空を超えよ、我にその門を開け! デジョン!!」
魔法陣が光り輝き、アグリアス達は闇に呑み込まれていった。
「イヤァァァッ! 二度と帰れないムードがひしひしとぉー!!」
ジョアンは泣き喚き、すがるように天井へ手を向けた。
ジャンプしたままのラヴィアンの姿があった。
「ここまで来て置いてきぼりぃぃぃっ!? いやこれはこれでラッキーかも……」


ラヴィアン、戦線離脱。
残りメンバー。アグリアス、メリアドール、マラーク、ジョアン。


「という訳でラヴィアンは死都ミュロンドに来れなかったようなので、
 今後はよりいっそう厳しい戦いになる。がんばろう!」
「イヤァァァッ! お家にかーえーしーてーッ!!」
ジョアンに悲鳴が死都ミュロンドに虚しく響く。




















・連続拳は男のロマンだが真面目な戦闘で使う気にはなれないんだよね篇



「ローファルがやられたのか……!
 ならば、ここで、私が貴様たちを食い止めねば、ローファルに会わす顔がないな……。ゆくぞッ!!」
死都ミュロンドで待ち構えていたのはクレティアンだった。
ソーサラーである彼の魔法の威力は想像を絶する。
「私が魔法を使うまでの間、何としても私を守れ!」
クレティアンの部下が、主を守るよう前に出る。
「くっ、こうも詰められては聖剣技が届かぬ……」
「ならば蹴散らすまで! 冥界恐叫打!!」
「俺の拳の前に壁など無意味! 疾風、地裂斬!!」
「人の隙間を狙ってミスリル銃!」
果敢に戦う四名だが、さすがに微妙に敵を倒し切れず、クレティアンに詠唱の隙を与えてしまった。
「夜闇の翼の竜よ、怒れしば我と共に胸中に眠る星の火を! バハムート!」
ジョアン下がれーッ!」
アグリアスとメリアドールが壁となって、レベルの低いジョアンを守った。
「見たか、バハムートの威力――何ッ!?」
勝ち誇るクレティアンの眼前に、メガフレアの閃光の中から飛び出す黒い疾風。
「悪いが、俺はフェイスが低いんでね! 俺の必殺技で死ねぇー!」
「しまった!」
「 連 続 拳 !! 」
ボコボコボコボコ。ダメージ65。
何とも微妙なダメージだった。連続拳だから仕方ないっちゃ仕方ない。
「……所詮はマラークか……」
「ええ、マラークですものね……」
元から期待してなかったらしく、アグリアスもメリアドールも呆れはしたが、落胆はそれほど深くなかった。
だが、そんなマラークの失敗に気づいていないジョアンは、
ただ自分をかばってくれたアグリアスとメリアドールのために引き金を引いた。
「よくもっ……!」
銃声が響き、クレティアンが倒れる。戦闘に勝利したのだ。
ジョアンのレベルが上がった! マラークの元から低い信頼がさらに下がった!
















・さらば天冥士マラーク・ガルテナーハ! 君の活躍は明日には多分忘れてるよ篇



クレティアンの次に待っていたのは、死んだはずの機工士ムスタディオだった。
「違う! 機工士バルクだバルク! ムスタディオでもベスロディオでもないッッ!」
地文にツッコミを入れるバルクの姿は、独り言を言う不気味な男のそれであり、
アグリアス達は彼を気味悪く思うのだった。
「……だぁぁぁっ! もういい、話を進めるぞ。小僧、会えて嬉しいぜ。
 この前は不覚をとったが今度はそうはいかねぇ。この死都をおまえの墓場にしてやる!
 特にそこのお前! 黒い肌の女……女? おい、お前誰だ」
「兄だ」
「妹はどうした」
「来てない」
「じゃあお前でいいや、死ね」
バルクのブラストガンの銃口が光る。落雷がマラークを襲った。
「ぐあっ……! だが、フェイスの低い俺には……」
「襲え」
バルクの号令に従い、ハイドラやティアマットがマラークを狙ってブレスを吐いた。
「ぐあああっ!」
「いかん! ジョアンはマラークにエクスポーションを、メリアは私と共に来い! 奴を討ち取るぞ!」
「ハハハ、間に合うものかよ! 俺のブレイズガンを、避けられるかァッ!?」
落雷がアグリアスの身を裂く。
「アグゥッ!」
「冥界恐叫打でその武器壊させてもらう!」
「させるかー!」
次に放たれた魔法銃の一撃はメリアドールの足を貫いた。
この距離では剛剣は届かず、メリアドールは格好の的となってしまった。
「しまった!」
「貴様は神殿騎士の裏切り者だな、俺が引導渡してやるよ!」
落雷が二発、三発とメリアドールを襲った。
ついにメリアドールは耐え切れず、地に伏してしまう。
その間にアグリアスはバルクを射程圏内に捉えていた。
「一撃で仕留めるは至難……ならば、不動無明剣!」
「ハッ! 死を超越した俺にそんな児戯が通用するかよ!」
今度はアグリアスの腕を狙うバルクだが、銃口から狙いを察したアグリアスは体勢を崩してまで攻撃を回避。
だがその場に尻餅をついてしまい、追撃のチャンスを与えてしまった。
「死ね!」
銃口が向けられる。刹那、バルクの足元が爆ぜた。
「疾風! 地裂斬!!」
「グハッ! 何だ……と!?」
ヒュドラ達の猛攻の中、マラークが放った一撃だ。
回避に徹せねばならぬ状況でありながら、アグリアスを救うために攻撃したマラーク。
そこに生まれた隙を突かれ、ハイドラがマラークのわき腹を噛みちぎった。
「キャアアッ! マラークさん!」
「くっ、おおっ!! 一人で死ぬかよー! 裏天魔鬼神!」
マラークは自分を中心に裏真言を放った。
地裂斬強化のための大地の衣のおかげで、地属性の裏天魔鬼神も彼にとっては回復手段だ。
裏天魔鬼神が周囲のヒュドラ達を葬っていく。だが、マラークには当たらなかった。
「……ケッ、運が……ねぇ、な……」
毒づきながらも、もう自分が手遅れだと知っていたマラークは、満足気に微笑んで倒れた。
「くっ……兄妹そろって、俺の邪魔を……」
「よそ見する余裕は無いだろう? バルク!」
マラークに気を向けたバルクの胸を、アグリアスエクスカリバーが貫いた。
「グホッ! 馬鹿な、俺が、死ぬ? 死を超越した……俺……が……」
「人は誰でも死ぬ……ムスタディオや、ラムザのようにな……」
「……あ? ラムザは、お前……じゃ……」
バルクは言葉の途中で事切れ、その場に倒れた。
アグリアスとメリアドールは、急いでマラークの所へ駆け戻る。
「マラーク、大丈夫か!?」
「……どうだ、俺の……実力……」
「正直驚いた。お前がいなければ、私はどうなっていたか……」
「へへっ……ようやく、俺を認め……たな……」
「ああっ、お前は強い、認めたとも。だから死ぬな、マラーク!」
「……ゴホッ。俺、の……クリスタル、頼むぜ……ラムザのように、俺の、遺志を……」
「……解った。お前の遺志、私が継ごう」
「あり……がと…………アグ…………」
息絶えるマラーク。
アグリアスも、メリアドールも、ジョアンも涙した。
そして、マラークの肉体が………………宝箱に変化した。
わき腹部分を食い破られた大地の衣を手に入れた。
使い物にならないから捨てようと思ったが一応形見なので持っていく事にしたが荷物袋が血で臭くなりそうなので、
マラークの墓標に縛りつけて置いて行く事にしたけれど仕方ないよね状況が状況だし!














・ハッ! ハッ! ハハハッ! ハシュマリムッ!! 一番楽勝なルカヴィ篇



「……来たか」
「ヴォルマルフ、そこまでだ!
 ヴァルゴは発動しない! あきらめて、おとなしくアルマ様を解放しろッ!!」
ついにヴォルマルフを追い詰めた。だが余裕の態度を崩さぬヴォルマルフには王者のような風格が漂っていた。
「いいや、発動するさ…。…が足りないだけなのだ。
「聞こえなかったか…? “血が足りない”と言ったのだ。
 “血塗られた聖天使”の再臨には多くの血が必要だ……。
 聖アジョラの死後、十数世紀にわたりイヴァリースの大地に多くの血が流されたが、まだ足りぬらしい。
 ……仕方ない。 地上へ戻ってもう一暴れしてこようか……。ククク……心配するな。
 その前に貴様たちを“生け贄”にしてやろう……」
レオの聖石が光り輝きヴォルマルフの姿が変貌する。
巨躯の獅子。一振りで人々を薙ぎ払う太い腕と鋭い爪、血に飢えた恐ろしい牙。殺意に彩られた瞳。
『……我が主、“血塗られた聖天使”よ、
 ワインよりも濃く灼熱の溶岩よりも熱い“血”をその復活のために捧げよう!』
統制者ハシュマリム! 最強最後のルカヴィが、ベオルブ(の名を騙るアグリアス)に挑む!!
『手加減はせぬぞ! 我が最大最強の次元魔法で冥土に送ってやる!』
『神の手より滴る灼熱の混沌へ、天地創造の火よ……メル』
「聖光爆裂破ー!」
「斬る!」
「撃つ!」
『グハッ! だが負けん、メルトン!』
灼熱のマグマがアグリアスとメリアドールを襲う。ジョアンは距離があったため大丈夫だった。
「ぐぅっ! チャージ中の隙を叩くにしても、さすがに三人ではきついか……チャクラ!」
アグリアスと相性最悪だから、あまり効果が無くて悲しいわ。回復手段が無いから通常攻撃追加!」
「えーい、メリアさんにエクスポーション!」
『ぬうっ、回復しきる前にトドメを刺してやる。その胸に怒りあるなら――』
「聖! 光! 爆! 裂! 破ァー!!」
「セイブザクィーンで戦う! 攻撃! 通常攻撃しかできぬ我が身を哂うがいいわ!」
「次はラムザさんにエクスポーション!」
『地に眠る者達、大地の激震となれ! クエ』
「チャージタイムの長さが命取りだ! 聖光爆裂破!!」
「斬るぅぅぅッ!!」
「二人ともほとんど回復したから私もミスリル銃で」
ウボァー
「え、嘘、私がルカヴィにトドメを!?」
ジョアンは感動に震えた。
「んー……うるさいなぁ」
銃声のせいだろうか、放置されていたアルマが目を覚ました。
「……あれ? アグリアスさん、何してるの? ってかここどこです?」
「アルマ様、ご無事でしたか!」
「え、アグリアスって……え?」
困惑するジョアンを放って、ハシュマリムは話を進める、
『ここまできて……邪魔をさせるものか……。
 “血塗られた聖天使”よ……我が命を……復活の贄に……捧げようぞ……ッ!!』
ハシュマリムは自らの心臓を抉り出し、聖石を残して消滅した。
するとアルマが光に包まれ、髪が銀に変わる。それはまさに聖アジョラその人だった。
『身体を取り戻したぞ……』
「アルマ様ー!」
いよいよラスボス戦突入!















・血塗られた聖天使篇



転生したアジョラだが様子がおかしい。
『うう……、なんだ……、これは………?』
『うぐぐ……に、兄さん………助けて……』
「アルマ様!」
呼びかけたのはアグリアスだった。ラムザに変装しているし、ラムザのクリスタルを継承したけどアグリアスだ。
アグリアスさん……』
『やめろ……邪魔をするな……じゃま……ふう、落ち着いたわ』
アルマ、分離できず。
「やっぱり血がつながってないと駄目ね。ブラコンパワーがあればアジョラくらい跳ね除けられるもの」
「メリアよブラコンパワーでアジョラを何とかできんか?」
「無理よ。乗っ取られてるのがイズルードなら愛の拳で何とかなるんだけど」
『お前等、何をつまらん漫才をしておるか……神の復活なのだから、もっとこう、畏れぬか』
「アルマ様の顔で言われても迫力など無い」
あざ笑うアグリアスの服の袖を、ジョアンが引っ張った。
「あ、あのー……お聞きしたいのですが、アグリアスって誰ですか?」
「んー……まあ、ここまで来たのなら明かしてもいいか。実は私はラムザではない、偽者だ」
「え」
アグリアスというのは私の本名。ラムザが死んだので、男装してラムザのフリをしていただけだ」
「ちょっ、女性だったんですか!? 全然そうは見え――」
「不動無――」
「いや通りで男にしては美しすぎると思いましたいやホントホント、マジ100%で本当」
『無視するな人間ッ!!』
怒ったアジョラは聖(ハイレグ)天使アルテマに変身し、アルテマデーモンをも召喚する。
『貴様達を殺してやる!』
「くっ……アルマ様の身体を傷つける訳にはいかん。とりあえずアルテマデーモンだけでも片づけるぞ!
 エクスカリバーよ、我が敵を薙ぎ払え! 無双稲妻突きぃ!」
「何で最後の最後で剛剣が通用しない敵ばっかり……どうせまたそうだろうと思って、
 すでに武器はオベリスクに変更済み! アビリティにジャンプもセットしましたよーだ! ジャンプ!」
「とりあえずミスリル銃で撃ちます。えいっ」
『おのれ人間め……渦なす生命の色、七つの扉開き、力の塔の天に至らん! アルテマ!』
破壊の光がアグリアスを吹き飛ばした。あまりの威力に盾が砕け散る。
「あぐぁー!」
「ら、ラム……アグリアスさん! エクスポーションを!」
「す、すまぬジョアン……。このまま負ける訳にはいかん、喰らえ聖光爆裂破!」
怒って反撃したとはいえ、やはり狙いはアルテマデーモンだ。
『この人間めッ……』
わずらわしさを感じたアルテマはダテレポでアグリアスの背後に回り、二本の剣を振り下ろした。
咄嗟に横っ飛びで避けるも、一本だけアグリアスの肩を裂く。
アグリアスさん! エクスポーションを!」
『いたちごっこにつき合うつもりは無い……!』
アグリアスはエクスポーションを受け取りながら、叫んだ。
「逃げろジョアーン!」
ジョアンの背後にダテレポで現れる聖天使アルテマ
「え?」
何が起こったのか、ジョアンは理解していなかった。ただ、両肩が熱かった。
アルテマの剣が鎖骨を砕き乳房にまで斬り込んでいる事を理解する暇も無く、ジョアンは倒れた。
ショックに固まるアグリアスとメリアドール。
そして同様に固まる、いや、困惑するアルテマ。死にかけのジョアンを見下ろし、呟いた。
暗闇の雲……なぜ"そちら側"にいる?』
ジョアンが預かっていた聖石アクエリアスが煌く。















暗闇の雲



『目覚めよ……我に忠実なる者……』
聖天使アルテマの呼びかけに、アクエリアスが脈動し、無数の光を放出する。
『復活が完全ならば、聖石の力に頼らずとも召喚できるが……今は血が足りぬ。
 アクエリアスの力を介し、現世に降臨せよ。暗闇の雲ファムフリート……!!』
光はジョアンの体内に入り込み、肩から乳房にまで至る傷を再生させる。
「うっ、うう……私、ハ、……記憶ガ流レ込ンデクル……」
ジョアン目を覚ませ! 聖石の力を受け入れるな、ルカヴィに魂を喰われるぞ!」
『無駄だ……暗闇の雲、ファムリートは今、聖石を通り、この肉体を器とし、蘇る』
ジョアーン!」


   暗闇が広がっていた。どこまでもどこまでも深く深く果てしなく、刻の彼方まで。
   永遠無限の闇。そこに広がる雲。暗闇の雲
   その雲が私なのだとジョアンは悟る。悟らされる。
   目覚めよと呼ぶ声が聴こえ、従属という歓喜が心身を駆け巡った。
   あのお方が呼んでいる。我々の偉大なる主が我を欲している。
   そうだ。私は暗闇の雲。名をファム――。



「ヤバいぞ、今にも変身しそうな勢いだ! メリア、何とかならんか!?」
「無理よ、聖石の力に逆らうなんて……ブラコンパワーでもない限り無理……」
「ブラコン……メリアよ、シスコンパワーでは対抗できぬか?」
「え、多分できると思うけど……」
「よし。ジョアンよ聞けー! ここで聖石に打ち勝ったら、お前は四人の姉に 褒 め ら れ る ぞ」
「え、そうかな?」
普通に起き上がるジョアン。ルカヴィに乗っ取られた気配は無い。
『ば、馬鹿な……ファムリートを拒絶しただと?』
「あれ? 何で服が血だらけなんだろ……」
「気にするなジョアン! とっとと敵を片づけるぞ! そうしたらお前は四人の姉に 褒 め ら れ る ぞ」


   「燃え上がれお姉ちゃん大好きハートの小宇宙!
    オ ー ロ ラ エ ク ス キ ュ ー シ ョ ン !!」


アルテマデーモン全部は絶対零度の凍気を受け、粉微塵になって死んだ。
『嘘ーん』
これにはさすがのアルテマもビックリだ!
「ぬうっ!? なぜかハッキリと感じる、アルマさんの肉体に潜むミステリアス・パワァを!
 天空破邪魑魅魍魎! 悪霊退散破邪滅殺! アルマさんから出ーて行けぇい!」
ルカヴィの力の一部を吸収したジョアンの必殺パンチが、アルテマのテンプルに直撃する。
ウボァー
するとアルテマが光に包まれ、二つに分離した。
一方にはハイレグ天使、一方には普通の美少女。
「うぅっ……アルテマに乗っ取られてる間に色々情報入ってきたけど、アグリアスさん、どうなってんの?」
「えーと、聖アジョラがアルマ様の肉体を使って復活しました。倒さないと世界がヤバいです」
「うわっ、それはヤバい事に……」
『コ、コウナッタラ……聖大天使トナッテ貴様等ヲ滅スル!』
アルテマ変身! 今度こそラストバトルだ!














・真なるベオルブを継ぐ者篇



ハイレグ天使が骸骨天使に変身した!
「マラークがいたらきっとショックで蛙になっていたに違いない」
「ええ、間違いないわ。絶対に蛙になって驚くわ」
「っていうか聖アジョラがこんな化物になっちゃって私の信仰心ボロボロですよ」
あまり驚かない三人。前の二人は慣れっ子で、後の一人はもうついていけないだけ。
そして現状把握に手間取っている子が一人。
「うぅ〜……聖石関連の事件って事は、兄さんはも来てるんでしょ? ラムザ兄さんはどこ?」
「ここに」
と、アグリアスは自身の胸に手を当てる。
「……それは今は遠く離れていても心は常にひとつとかいう愛情的もしくは友情的な意味でしょうか?」
「いやいや、何というかもっとこう、クリスタル的な意味で」
「……アビリティ継承したって意味ですか?」
「瀕死HP回復とメンテナンスくらいしか使えるアビリティを継承できなかったが。
 他に使えるアビリティはすでに習得していたしな……」
「……そう。つまりこういう事ね?
 ア グ リ ア ス さ ん を 殺 れ ば、
 間 接 的 に 兄 さ ん の ク リ ス タ ル を ゲ ッ ト で き る」
「違います、全然違います、断じて違いますとも」
「虚栄の闇を払い、真実なる姿現せあるがままに」
「何詠唱してるですか、何ですかその異常な魔力は。ちょっ、やめ……」
「アルテ……」
「無双稲妻突き!!」
ウボァー。モット……チカラヲ……!」



アルマの身体を究極の破壊エネルギーが包む。大地が震え天が唸り、次元にヒビが入る。
それを見て聖大天使アルテマは焦った。
『オイ、ナゼオマエガ、ソノ魔法ヲ……ツカ、ワタシヲ無視スルナー!!』
「震えろ、命つなぎ止める光、力の塔となれ! 完全アルテマ!」
破壊の閃光はアグリアスと聖大天使アルテマと飛空艇の墓場を飲み込み、すべてを灰燼へと変えた……。
『コ、コレガ、ベオルブノチカラカ……ウボァー
「さすがラムザの妹にしてオヴェリア様のご友人、超絶的な威力……ウボァー
「まあイズルードの仇を討てたし、思い残す事はないわ……ウボァー
「お姉ーちゃーん! お母ーさん! お家にかーえーし〜て〜よ〜〜〜〜……ウボァー
「やばっ、威力強すぎて私も巻き込まれ……ウボァー


   CONGRATULATIONS!
   THIS GAME IS COMPLETED!
   ウボァー






















ジョアン白書篇



アルマの墓参りにやって来るオーラン。
ディリータとオヴェリアのその後の報告を済ませた後、もの言わぬ墓石に問う。
「義父上は……、義父上は勇敢に戦って死んだのか?」


ブレイブストーリー シドルファス・オルランドゥ
通称“雷神シド”。
南天騎士団団長にして、先の五十年戦争ではバルバネスやザルバッグらと共に敵に恐れられた無敗の将軍。
ゴルターナ公に対して謀反を企てた容疑により失脚し、ベスラ要塞に幽閉されるが、
義理の息子オーランとラムザの活躍により脱出した。
その後ラムザと行動を共にするがアグリアスのおっぱいと掴んだ直後、ヘッドブレイクを受け死亡。
死に顔は穏やかだった。


オーランは目を瞑って首を振り、義父が生きている事を願った。そしてラムザ達が生きている事も。
「……また、来るよ。じゃあな……。……本当に死んじまったのか?
 ……オレにはまだおまえたちが死んだなんて信じられないよ。だって……、そうだろ……?」
オーランが立ち去ろうとしたその時!


「クリスタルを寄こせー! ラムザ役は妹の私が受け継ぐ!」
「冗談ではない! せっかく生還したのに死んでたまるか!」
ボコに乗ったアルマが、ラッドとアリシアを従えてアグリアスを追いかけていた。
鉄巨人高機動型労働八号改(ラファ作)に乗ったアグリアスとメリアとジョアンが逃げていた。
「だいたい何でラッドとアリシアがそっち側にいるのだ!?」
「悪いなアグリアスよぉっ! 傭兵ラッドは報酬の高い方につくのさ!」
「アルマ様こそメイドして仕えるべき主! 故にアリシアは忠実なるメイドとして従うのみです!」
『クエッ! クエ〜ッ!!』(倒した敵と一緒に焼き鳥にされた我が子達の恨み、今こそ晴らす!)
さらにラヴィアンが現れる。
「争っている場合じゃないですって! オルランドゥ伯のお墓参りに行ってエロ本をお供えしたら、
 墓穴から伯の幽霊が出てきてアグリアスさんにセクハラしようとこちらに向かって――」
『うわっはっはっはっ! 肉体が死したとて雷神は不滅! アグ……ラムザァ〜、いざ背中流しっこじゃぁ〜!
 おうっ!? アルマもいるでわないか。脱げ脱げ脱げ〜!』
迫り来るオルランドゥの亡霊! さらに逃げるアグリアス! メリアドール! ジョアン!
「イヤァァァッ! 高機動型労働八号改、もっと急げ〜!」
「ちょっと! オルランドゥ伯がお亡くなりになっていたとは聞いていたけど、あなたどう関わってるのよ!?」
「おーうーちーにーかーえーしーてー……」
アグリアス達、アルマ達、亡霊オルランドゥの争いにより墓地が次々と破壊されていく。
その様をオーランは呆然と見つめ……意識を手放した。


その後、オーランは4年くらいかけてデュライ白書を書いたけど、
あまりに滅茶苦茶な内容なので民衆も貴族も教会もみーんなスルーしたそうな。




追伸。
その後、ジョアンが書いたジョアン白書は『大人気コメディ』として歴史的ベストセラーになったらしい。


   ラムリアスが行く! 完!