氏作。Part24スレより。

アグリアス様〜、飲みすぎですって。明日つらいですよ?」
「構わん。今飲めない方がもっとつらい……いいホワイトデーを過ごせたアリシアには分かるまい」
「そうかもしれませんけど、でも、今日ラムザさんに押し倒されそうになったんでしょ? そのままやっちゃえば……」
「あんな下ネタに一生の思い出を穢されるなど言語道断だ!」
アグリアスが酒瓶をドンッとテーブルに置くと、か細い声でラファが、
「あんな下ネタに一生の思い出を穢されました……」
泣いた。
「す、すまぬ……ラファ、泣くな。思慮の足りぬ言葉を言った私が悪かった」
「どうせ私は汚れた女よぉー! 私にもお酒ください」
「飲め、思う存分飲め未成年よ」
二人してお酒をガブガブとあおるアグリアスとラファ。
それを見ながら、ラヴィアンはマシュマロをほおばっていた。
「悲惨ねぇ二人とも」
「ラヴィアン、やめなさいよ二人の前で。そんなこれ見よがしに……」
「だってー、調子に乗ってチョコ配りまくったら、お返しの量がさー……特にオルランドゥ伯が10倍返しだもの」
「10倍……!? さ、さすが雷神……」
アリシアも食べる?」
「あ、食べるー♪」
「ちなみにそれはマラークからのなんだけど、他のみんなが2倍以上なのに、あいつだけ1.5倍。所詮カエルね」
「でもラファに3倍返しをしたらしいわよ?」
「ほぇー、シスコンねぇ。で、あんたは何倍返しをもらったの?」
「ノーコメント。ラヴィアンに言うと後々面倒な事になりそうだし」
「ちぇっ、ケチンボ」
「そういえばラムザさんにもチョコ上げたんでしょ? やっぱりラヴィアンもホワイトデー忘れられてた?」
「忘れられてはいたけど、街のお菓子屋で偶然会って、自分用として買ったらしいキャンディを一個もらった」
「自分用……」
「他にもクッキーとか買ってたから、てっきりアグリアス様へのお返しだと思ってたけど、晩ご飯の後一人で全部食べてるし」
「うわぁ……そりゃアグリアス様も荒れるわ」


「私の理想の初体験というのはだな雪の降る寒い晩、暖炉の前で毛布を二人でかぶり寄り添いお互いの過去を語りつつ──」
「分かる、分かりますアグリアスさん! シチュエーションは大事です、ロマンチックに盛り上げてから、ゆっくりと!」
「ふと視線が交わり合い、そのまま一分くらい見つめ合い、近づく唇。
 それから手をつないでベッドに向かい優しく静かに──まずは髪を撫で、口づけをもう一度交わしてから──」
「壊れ物を扱うように、そっと、優しく、どこまでも優しく、ベッドに寝かしてもらって──」
「そして恥じらいながら言うのだ。『わ、私……初めて……だから……』と。そして相手は応える」
「『僕も初めてなんだ……』ですね!? そしてぎこちなく、頬を赤らめ、不慣れな手つきで私の、私の……イヤンッ」
「そう、自分で脱ぐなんて恥ずかしいという乙女心を読んで、相手が服を脱がしてくれるのだ! 不慣れな手つきで!」
「脱がされ始めてから自分で脱ぐ以上に恥ずかしい事に気づき、けれどその恥ずかしさが逆に興奮を高めるんですね!?」
「YES! そしてあらわになった裸体を前に、男は固まるのだ。この間が重要だ、初々しさがたまらんからな!」
「そうですとも! いきなりヤろうとするなんて野獣です、人間ゆえの嬉し恥ずかしドッキドキがポイントです!」
「それを見かねた私が絶妙のタイミングで言うのだ! 『……来て……』と」
「キャアアッ! 最強の殺し文句ですアグリアスさん! それで来ない男はいません!! まさに乙女の夢!」
「そうだろうそうだろう。そんな風にラムザに抱かれたいのだ私は! だのにあのアホと来たら……」
「ええ、アホです! ラムザさんはアホです! 私だって『ちょっといいなー』と最初は思ったのに!
 ヤードーで助けられた直後、馴れ馴れしく肩を抱いて、暗い屋内に連れ込まれて……。
 あの時兄さんがカエルの姿で来なかったら、私今頃、再調教を受けてラムザさんの……」
「調教とな!? わ、私は嫌だぞ? ノーマルだからな!」
「でもラムザさんは明らかにアブノーマルです! 隠し持ってるエロ本だってマニアックなの多いです!」
「エロ本だと!? 馬鹿者めッ、そんな物を使わずとも、私に言ってくれれば……真面目に言ってくれれば、私だって!」


「処女の妄想力ってたくましいわね……」
「え、ラヴィアン経験あるの?」
「ノーコメント。そういうあんたこそどうなのよ? 正直に暴露すれば私だって答えるわよ?」
「ノーコメント。どうせデタラメ話して誤魔化すつもりでしょ」
「ラブリープリティビューティホーなラヴィアンちゃんがそんな女に見えますか!?」
「ラブリーブレイク!」ズガッ「プリティブレイク!」ズガッ「ビューティホーブレイク!」ズガッ
「ぎゃー」
「で、ラブリーでもプリティでもビューティホーでもないラヴィアンは、そんな女に見える訳で」
「鬼! 外道! ブレイクマスター!!」


アリシアー!」
「わっ、何ですかアグリアス様?」
ラムザにまともな『ヴァージンブレイク』を習得させてやってくれ! ブレイクマスターのお前ならできるだろ!?」
「『ヴァージンブレイク』は男性orレズ専用アビリティなので無理です」
「それくらいラーニングせんか非処女ー!!」
「誰が非処女ですか! 私は結婚するまで破瓜する気はありません! いつも素股で済まし……あっ」
「ふはははは! アリシアの自白、このラヴィアンがしかと聞かせてもらったわー!」
「ラヴィアン! メモリーブレイクで奈落に落ちなさい!」ズガッ
「うがっ! ここはどこ、私は誰? ああ、何も思い出せない……」
「ラヴィアン。お前は私に絶対服従の下僕だ」
「何吹き込んでるんですかアグリアス様ー!?」
「OK私はアグリアス様の下僕、何なりとご命令を」
「ラヴィアンのヘソクリ全部使ってお酒買ってきて」
「イエッサー! 毎日アグリアス様とアリシアの財布からバレない範囲でギルを盗んで貯めたヘソクリで買って来ま──」
「死兆の星の七つの影の 経路を断つ! 北斗骨砕打ッ!!」
「恨み、あります、呪い、あります、貴方にあげます! ライフブレイク!」
「ブレイクマスターってそんな技も使えウボァー


   終わた。







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