氏作。Part20スレより。


俺の名前はソウテツ
忍だ。今はわけあって畏国を身を置いている。
因果なことに、日の本の国を出ても追われる身だ。
まぁ、それというのも色々複雑な由あってのことなのだが…
そこでちらりと隣の男を見やる。
男はまだ若い。青年である。
そして、おれが使える大将でもある。
危ういまでに真っ直ぐな瞳、線は細いがよく鍛えられた体、剣に馴染んだ痛々しいまでに硬い掌。
しかしその躰いっぱいに詰まった信念を知るものは少ない。
代わりに、「異端者」という二つ名だけは知れ渡っている。
つまるところ、我が御大将はこの畏国という地で今や大変な有名人なのだ。それもお尋ねされる身として。


「どうしました?ソウテツさん?」


しかし我が殿は意外に呑気なものだ。聞けば貴族の出身だとか。
おれの国では公家の連中は下々の民とは口も聞かないものなのに、この男は誰にでも平等に接する。
貴族、平民、その眼に映るものは別け隔てされない。あるいは神仏が相手ですらそうなのかも知れぬ。
「どうもしないさ。大した事ではないよ、殿。」


「やだなぁ、その呼び方はよしてくださいっていつも言ってるじゃないですか」


「そいつは御免。ではラムザ、一つお聞きしてもよろしいか?」




「もっとフランクに話してくれれば許してあげないこともないです」


「適わんなぁ、ラムザ。まぁいい、アグリアス殿はどこに?
今日はまだ見かけないようだが」


アグリアスさんなら最後尾ですよ。
 いつも先陣をきって最前列なのに、今日に限ってしんがりを務める、なんて言いだして。
 それにアグリアスさん、今日は何だか様子がおかしいんですよ。
 僕の事避けてるみたいだし…」


「そうみたいだな。いつもはラムザのすぐ近くにいるのに、なぁ?」
ちらりと横目で、意地の悪そうに見える視線を送ってやる。
そうすると面白いもので、ラムザの頬がすぐに桜色にそまっていく。


「からかわないでくださいよ…。僕は心配してるだけなんです!」


「おお、こわいこわい。
 我が殿はご乱心じゃ」
俺はそういってからからと笑った。


「まったく、もう…。意地悪ですよソウテツさん。
 アグリアスさんはオヴェリア様の事もあるし、良くも悪くも根っからの騎士なんです。
 女性ということもあるし、ひょっとしたら僕らよりもずっと繊細なのかもしれません、だから…」


「分かっているよ、ラムザ
 おれかラッドにでも頼むつもりだったんだろ?忍者のおれか、あとはシーフのラッドぐらいだしな」


「話が早くて助かります。お願いしますね?」


「御意」


すっ、と潜伏状態に入る。
こういった場合は周りから、静かに事を運ぶのがよい。
まずはアグリアスに近しい人間に話を聞いてみるべきだな…


おれはとりあえず、潜伏したままラヴィアンとアリシアの歩く後ろを気付かれずについていくことにした。
ま、たまには主君のために一肌脱ぐのも、悪くあるまい。




俺はこっそりと隊列の半ばにいるラヴィアンとアリシアの後ろについた。
つい昨日ディープダンジョンで宝探しを終えたばかりだ。疲れも残っている様子で、俺の接近に気付いた様子はない。
この先のバリアスの谷から流れる渓風が頬を撫でながら通り過ぎていく
無論、俺がいるのは二人の後ろ、風下だ。
さらに俺から何か仕掛けない限り、とうめい状態の姿を見破られることはない。
俺は細心の注意を払い、木の影、葉の影となって付かず離れずの距離を保ちながら耳をそばだてた。


「ねぇラヴィアン」
「何?アリシア
「ちょっと今日のアグリアス様の様子、変じゃないかしら?」


よし。その調子だ。


「あれ、知らないの?」
「何を?」
「う〜ん。言わない方がいいかも」
「ちょっとぉ、そこまで言ったんたら教えなさいよ、気になるじゃない!」


そうだ、もっといけ、アリシア


「でも知らない方がいいことってあるでしょ?」
「なによぅ、それ。言ってくれないと今夜気になって眠れないじゃん」
「…聞いたら余計眠れなくなるわよ」
「またまたぁ、そんな事言っちゃって」
「聞かない方が幸せだよ?」「どんと来い!」
「……“マンダリアの悲劇”よ」



ぼそりと呟くラヴィアン。マンダリアの悲劇?何かの暗語だろうか。
と、俺が思案していると、
「え、ちょっ、えぇ?まってよ、そんな…大変、逃げなきゃ!」


どうも様子がおかしい。さっきのラヴィアンの何事か言った途端にアリシアが取り乱しはじめた。俺はなおめ静かにことの成り行きを見守った。


「待って、アリシア、落ち着いて!」
「でも!」
「大丈夫。アグリアス様は最後尾よ。戦闘になっても前線には出ないわ」
「そう…ね、そうだよね…。ごめんね、取り乱しちゃって」
「ううん、いいの。仕方ないわよ」
「でも何だってあんなものを…」
あんなもの?何だか物騒な話らしいな…。
やはりラムザの心配も思い過しではなかったようだ。
「…うん、わかったよラヴィアン。この話はないしょね」
「お願いね、アリシア。特にラムザさんには何があっても話さないでね」
おっと、こんなところでラムザの“草”が忍んでるとは思いもすまい。壁に耳あり、障子に目あり。
壁も障子も無いけどな。
しかしこのままでは困る。肝心の内容はさっぱりだからな。あの分だと相当厄介な事には相違あるまい。



仕方ない…。これも部隊の平和のためだ、許せよ!
「乱心唱!」
俺は呪言を唱え陰陽術を放つ。人心を操る陰陽術は使い勝手が良いとは言えないが、殊こういう場面においてはなかなか重宝するのだ。
「うぅ〜、お、お星さまが…」


「だっ、だめです!そんなとこ…あっ…」


…どうやら素敵な夢、幻を見ているようだ。まずまずの成功といったところか?
尋問するなら一人もいれば十分だろう。
そうだな、ラヴィアンの方が事情に詳しいようだからこっちに聞いてみようか。



「さて、二、三、質問に答えてもらおうか?」


「はい〜、せんせー、なんなりと〜」


(騎士ともあろう者がこんな調子でいいのだろうか…)


「ではまず、“マンダリアの悲劇”とは?」
「そぉれわ〜…」
「それは?」
「甘〜いにおいのぉ〜」
「甘い匂いの?」
あぐりあすさま!」
アグリアス様?」
「もぅ〜、あぐりあすさまったら!」
「はぁ?」
「はっ!だ、だめよ!アグリアス様!それは 味 方 で す ! 」


ラヴィアンの様子がおかしい。ちょっと乱心唱が効きすぎたようだ。


「だ、だめっ!みんな逃げて!アグリアス様が…2倍の速さで…」


「しっかりしろ、ラヴィアン、そうだ、ほーら、人差し指の先を舐めるとバニラの味がするんだぞ、うそじゃないぞ、ほんとだぞ」
…もちろん嘘だ。


「わぁ〜、ほんとだ〜甘ーい」


許せラヴィアン…おまえの犠牲は忘れないからな!



と、心の中で詫びながらもちょっとだけ楽しんでいたことは秘密だ。
おっとニヤけた顔では任務が遂行できん。引き締めねば。
しかし不可解な事が多すぎる。
俺としては奥手なラムザのために少し手を貸してやろう、という心づもりだったんだが。
アグリアス殿の事になると急に心配性になるからな、うちの殿様は。
そのうえ奥手だから始末が悪い。部下がやきもきするのも無理はない話だ。
しかしこれ以上ことを探るには…あとはアグリアス殿に直接あたるしかないか。
相手がアグリアス殿程となると、生半な小細工は通用しないだろう。
俺は再び姿を隠し、バリアスの谷から流れる渓風に身を踊らせた。
面倒な事になってきたが、気力を尽くしてことにあたらなければ。


ひょっとすると、アグリアス殿は将来の奥方様になるやもしれんからな




早手回しに動かなければ、バリアスの谷に入ってしまう。
谷ではモンスターの襲来を警戒しなければいけないので、こんな遊びをやっている暇は無くなってしまうだろう。
俺はある程度の陣形を保って進む部隊に逆らう形でアグリアスのもとまで近づいていった。
そして、ついに視界に捉える。アグリアス
蒼い保護服に白の鎧をまとった男装のホーリーナイト、アグリアスオークス
しかし、いつもは凛々しい女騎士も、今日はその勇ましさを感じさせない。
いったいこれはどうしたことか。俺は今日初めてみるアグリアスの様子に違和感を感じ、訝しんだ。
ま、これではラムザが心配するのも頷けるな…。
そんな事をつらつらと思いながら、そろそろとアグリアスの後ろに回りこむ。
そして、完全に回り込んだ、というときだ。
ふわりと香る甘い匂いが俺の鼻に届く。これは…渓風が風上から花の匂いでも運んできたか?
いや、違う。それなら今までに匂いが運ばれてきていないのがおかしい。何故今になって?
渓風が考える俺の頬をそっと掠める。
そこで俺はアグリアスの背中を見てふと唐突に理解した。
つまり、匂いは風上から運ばれてくるのではなく、アグリアスの後ろの風下にいるから匂いが流れてくるのではないか?、ということだ。



即ち、匂いの源はアグリアス。恋は女を変える、というのは本当らしい。
アグリアスも随分と色気付いたようだ。
しかしアリシアとラヴィアンの二人は何を恐れていたのだろう?あいつらだったらアグリアスのお洒落を応援する筈だろうに。
甘い、匂いの、アグリアス。ラヴィアンが言っていたのはこの事だろうか。むしろ微笑ましい光景のような気がするんだが…。
ええい、ままよ。時間もない、ここは正面からいってやろう。
潜伏をとき、とうめい状態を解除した俺はできるだけ自然にアグリアスに近づいた。
「後方警戒、ご苦労様。そろそろ先頭が谷に到着するそうだ」


俺は伝令を装いながらアグリアスの出方を伺った。


「分かった。こちらはもういいぞ。貴殿は元の配置に戻られよ」


「そうつれない事を言うな。ところで、良い匂いがするな。
 今日は香水の類をお付けで?」


「…まぁ、もしものときに少しでも補助効果を得られれば、と思ってな」


嘘だな。まったく、ラムザといい、アグリアスといい、分かり易すぎる。
見ているこちらが苛々するくらいだ。
しょうがない、ここは一つ、俺が仲添えしてやろう。
「ほぅ、それは頼もしい限り。
 ではどうだろう、最後尾にいては出番がありますまい、ここは某と配置を交換してはいかが?
 勇壮なアグリアス殿には我らが将を守護していただきたい」
少し嫌味っぽいぐらいで丁度良いか。
これでアグリアスが挑発に乗ってくればよいのだから。


「そ、それは駄目だ!」
「どうして?」
「それは…」
「言わずとも分かるがな。要するに、香水をつけてはみたものの、恥ずかしくてラムザに会えんのだろう?」
「ち、違う…」
「いいや、そうだ。とにかく、配置交換はラムザからの命令だ。それとも、背命行為で騎士の誇りを捨てるか?」
「…分かった。それでは、仕方がない。行ってくる…」
「あぁ。ラムザアグリアス殿が元気ないって心配してたぞ。行って安心させてやるんだな」
「…そうか、ありがとう」


ふっ、と唇の片方を上げて笑い、ラムザのもとへ行くアグリアス
しかし顔が赤いから様になってはいなかった事は、本人にはないしょにしておこうか。



勿論、ラムザの配置交換の命令は嘘だ。
こうでもしないとアグリアスは動かんだろうし、せっかくのおめかしをフイにしてしまうのはもったいない。
くだんのアグリアスの香気を含んだ薫りが風に乗って運ばれてくる。
この香りはどうしてなかなか、男心を惑わせる。
これなら今日は期待できそうだ。
いやはやまったく、いいことをしたあとは良い心地よ…。


と、そこで急に不穏な気配に気付く。
敵襲か!?
俺はすぐさま腰の忍刀を抜き、右手に一振り、逆手に構える。
左手はまだ空き手、しかしいつでも「ひょうすいのたま」を投げられるよう、後ろ腰に添えておく。
ひょうすいのたまを選んだ理由は、周囲に木々が多いために
かとんのたまは使いづらいだろうという判断からだ。斜め前方の茂みがざわざわと蠢く。
頭ひとつも出てきたならば、すぐさまひょうすいのたまを投げ当て
氷霧を煙幕代わりにこの場を離れなければならぬ。
敵襲を部隊全体に伝え、敵の種類と数をいち早く偵察するのが、忍者の仕事なのである。
さぁ、出てこい。俺が相手になってやる。
俺は静かに、口布で顔を隠した。



「あ、っと、よっ、ほっ、はっ、あいたっ!」


どすんと倒れながら茂みから出てきたのはアリシアだった。混乱状態から回復したのか。
俺は忍刀を腰に納め、身体の緊張を解いた。まったく、はた迷惑な奴め。


「どうした、アリシア。身体の調子でも悪いのか?」
「ち、ちがいますよぅ…」


「でも、何だか具合悪そうだな?大丈夫か?」
俺のせいなんだがね。ここは知らんぷりである。


「そう、そうなんですよ!
 何だか今日は変なんですよ。ラヴィアンと二人で5分ほど気を失ってたみたいで。
さっきレーゼさんに助け起こされたんですよ。
 それにね、おかしいんですよ、ラヴィアンったら。
 人指し指を一舐めしては『おかしいなぁ』とか『妙だなぁ』とか。
 お前の指はアイスクリームかっ!感じですよね」


ラヴィアン…。


「それに変っていったら…そ、そうだ!アグリアス様はっ!?」


「ん?ラムザの所に行ったそ、ついさっき」


「なっ…!ど、どうして!?」
 どうして行かせたんですか!ソウテツさん!あなた、自分が何をしたか分かってるんですかー!!」



「いや、お前…俺はよかれと思ってだな、」


「そういう問題じゃないんです!
 あわわ…早くしないと大変なことに…!」


「話が見えん。何が大変なんだ?」


「説明はあとです!今はアグリアス様を止めないと!」
「わ、わかった」
迫力に押されて頷いてしまう俺。いったい俺が何をしたっていうんだ。


「とにかく!アグリアス様のあとを追いましょう!
 ついてきてくれますよね、ソウテツさん!?」


「そりゃ構わんが…」


「こっちです!」


やる気まんまんだな…。
とりあえず俺はアリシアのあとをついて行くことにした。
話が分からないなりに切迫した雰囲気を感じたからだ。
アリシアは俺に構わずどんどん進んでいく。
進むたびに匂いが僅かずつ強くなっていく。
神秘的な香りだ。
そして、ついにその神秘的な匂いの発生源に辿り着く。
そこには、アグリアスと向かい合うラムザの姿もあった。




「隠れて!ソウテツさん!」


わかった、と目線で合図する。
「で、どうするんだ?」


「少し待って下さい。
 ラヴィアンがここで合流する手筈になってます。
 何が起こるか分かりませんから、人手は少しでも欲しいんです」


何のことやら。
まぁ、とりあえず俺も様子を伺う事にしよう。何が起こるのか気にはなる。
そうやって息を潜めていると、ほどなくしてラヴィアンが表れた。


「おまたせ」


「遅いわよ!ラヴィアン!」


「ごめんごめん…あれ?何でソウテツさんがここに?」


「…成り行きでな」


「まぁ、一人でも多い方が心強いでしょ?
 ところでここに来るまで気付かれてないでしょうね?ラヴィアン」


「それは大丈夫。念には念を入れたから」


…おまえら本当に騎士なのか?
俺なんかよりよっぽど忍者の様だぞ…ラヴィアン、アリシア


まぁいい…。俺もあの二人がどんな話をしているか興味はある。
ここは一つ、ラヴィアンとアリシアの言う事を聞いておこうか。
俺たちは三人して、ラムザアグリアスの会話に耳をそばだてた。


「ラ、ラムザ…。本当に変じゃないか…?」
「変なんかじゃありませんよ、アグリアスさん。
 とてもよく似合ってます」


邪気の無い笑顔で言い放つラムザ
あの女たらしめ…
おそらくは自覚すらしていないであろう女殺しの笑顔。
耐性の無いアグリアスには致命的な一撃だれう。


「せ、世辞ならいらん…」


“とかなんとか言って、顔まっかっかですよぉ”
“しっ!アリシア、しゃべっちゃだめ!”
くすくすと笑うアリシアを注意するラヴィアン。
しかしそのラヴィアンも顔がゆるみっぱなしだ。
無理はない。何故なら俺もさっきから微笑ましくってしょうがないからだ。
もう二十をいくつか越えた、しかも普段は強く凛々しく、美しい聖騎士が、
ラムザの前ではまるで生娘のような初々しさ。



「お世辞じゃないですよ。ほら、いい匂い…」


ラムザが鼻を近付けてアグリアスの香りを愉しむ。
…この女たらしが!


「なっ…!や、やめろ!ラムザ、おま…」
「どうしました?」
「え…?あ、いやどうも、しないが…」
「変なアグリアスさん」
くすくすと笑うラムザ。こいつ、将来は大物になるぞ…。


「ばか…」


ぽそりと呟くアグリアス。こちらもこちらで大したものだ。しかし…
“なぁ、ところで何を慌ててたんだ?覗き見したかったのか?”


“っと、そうでしたね…。二人を見てたらつい忘れてしまいそうで…。アリシア、まだ説明してなかったの?”


“時間が無かったのよ…。でも本当にいいんですか、ソウテツさん。
 聞いたら後戻りできませんよ”


“構わん。乗り掛かった船だし、俺でよかったら力になるよ”
俺がそう了解の旨を伝えると、二人は幾分かほっとした様子だった。


“ありがとうござ…”


「誰だ!そこに隠れている不埒者!出てこい!」



感付かれたか!?
さすが聖騎士、といったところだろうか。
俺はおしゃべりのしすぎを後悔しながら、必死にこの場を凌ぐたもの考えを巡らせた。
手に汗が滲み、濡れた手に風が冷たく感じる。
逃げるか…?
いや、駄目だ。俺一人ならともかく、ラヴィアンとアリシアがいる。
この場はなんとか白を切り通すしかない。
どうやって誤魔化す…?。
猫の泣き真似。
…却下だ。バリアスの谷には山猫、豺しか居ない。不自然だ。
陰陽術。
これも難しい。発動するには時間がかかる。
ダーラボンのまね。
…声でばれる!
畜生、八方塞がりか…。
と、俺が諦めかけたそのとき。


「あっ、と、よっ、ほっ、はっ、あいた!」


アリシア!?
俺が気付いたときにはアリシアがどすんと、茂みから出ていくところだった。


「アリ…」
“しっ!”
ラヴィアンが俺の口を塞ぐ。
“せっかくアリシアが囮になってくれてるんです。
 このまま様子をみましょう”
…成る程。確かに全滅するよりはマシだろう。
しかし…とっさの判断力と自分を犠牲にしても全体を生かすチームワーク。
アトカーシャ王家近衛騎士団おそるべし!






この次の話へ