氏作。Part31スレより。




 アグリアスの部屋の中央、アリシアが入れた茶と菓子が置かれた卓を囲み、
アグリアスは俯き、ラヴィアンは卓に両腕で頬杖を突き、アリシアは姿勢を正し、椅子に座っていた。
「おまえたちに、相談したいことがある」
 アグリアスが切りだすと、ラヴィアンが、当てずっぽうに訊いてくる。
ラムザに、押し倒されでもしましたか?」
「ええっ!?」
 それを聞き、アリシアが、驚きの声をあげる。
「違う」
 アグリアスは顔を上げ、否定した。
アグリアスさまが、ラムザを押し倒したんですか?」
「ええっ!?」
「違う」
 どうでもよさげなラヴィアンと、いちいち衝撃を受けるアリシアに、アグリアスは繰り返し否定した。
 ラヴィアンを睨み、告げる。
「わたしもラムザも、決して、そんなことはしていない」
「なら、なんです?」
「わたしが、ラムザと愛を語らうには、どうすればいいのかを、教えてくれ」
 頬が染まるのを感じながら、教えを請う。
「はあ?」
「まあ!」
 呆れるラヴィアンと惚けるアリシアの、声が重なった。
 アリシアが、うっとりとして言ってくる。


「戦の庭で、幾輪もの命の花が散りゆく中、惹かれあう男女。傷ついた、心と体を癒すのは、ひたむきな愛」
アリシア?」
 呼び掛けるが、アリシアは、虚空を見つめ、続けてくる。
「激しく、優しく、互いを求め、束の間の悦びを糧として――」
「てい」
「はうっ!?」
 ラヴィアンに、襟首を手刀で打たれ、アリシアが失神し、卓に突っ伏した。
「空想女は放っておいて。ああ、なんでしたっけ? 愛の語らい?」
「う、うむ」
 取り敢えず、アグリアスが頷くと、ラヴィアンは、嘆息し、言ってくる。
「要するに、あれですよね? 押し倒されるか押し倒すかっていう状況を作りたいんでしょう?」
「なっ……!?」
「突き詰めてしまえば、そういうことでしょうに」
 話を飛躍され、アグリアスは絶句したが、ラヴィアンは、あっさり言い放ってきた。
「愛欲を満たしたいんなら、裸で情交を迫ればいいでしょう」
「そんな真似ができるか!」
アグリアスさまなら、できますよ」
「ええ! 愛があれば、きっとできます!」
 いつの間にか復活した、アリシアが、ラヴィアンに加勢する。


ラムザわたしはおまえを愛しているアグリアスさんぼくもこうなることを望んでいました
んうっラムザああアグリアスさん感じているんですねほらここはこんなになっていますよ
くっもうぼくはイッてしまいそうですいいぞわたしのはううっ!?」
 恍惚としてまくしたてるアリシアの襟首を、ラヴィアンと共に手刀で打ち、再び失神させる。
「裸は駄目ですか?」
「駄目だ!」
 固辞すると、ラヴィアンは、面倒くさそうに、襟巻の代わりにしていたカシミールを解き、
 アグリアスに渡してきた。
 ラヴィアンの意図が分からず、問う。
「なんだ、これは?」
「それを裸身に巻いて情交を迫れば――」
「おまえの案は、そんなものばかりなのか!?」
 おざなりに答えるラヴィアンに、アグリアスは叫んだ。