氏作。Part14スレより。


 ハイ、あたしサンドラ。サンドラ・ラスカリス。
 泣く子も羨むアカデミーの士官候補生。だったんだけど、戦争の始めのころに民兵騎士団の
統率なんてむっさい役目に派遣されちゃったのが運の尽き。
 骸騎士団、ってあったじゃない? あれの小っちゃいやつ。昨日までイモ掘ってましたって
感じの肥臭い田舎男と田舎女ばっかで、使えないし礼儀は知らないし最低。骸騎士団は
あんなことになったのに、上の人はまだ懲りてないのね。農民なんてどうにでもできると
思ってるわけ。で、ろくな戦果も上げられないでいるうちに、やっぱりプチ骸旅団みたいな
羽目になっちゃったわけなのよ。
 ぶっちゃけ山賊なんだけど、何しろ田舎者だから追い剥ぎ一つ上手くやれやしない。で、
あたしは農兵じゃないし原隊に帰ってもいいんだけど、戻ったって大して面白いこともないし、
一緒に来た同期の男はあっさり死んじゃうし、どうかするとあたしまで逆賊扱いされてない
とも限らないし。それに、あれよ、やっぱりちょっと、情が移っちゃって。結局、連中と一緒に
山賊やっちゃうことにしたわけ。
 やってみると、けっこうできるものよね。街道沿いの森にアジトつくって、近くの魔物なんか
調教して連れてきたりして、出だし好調だったのよ、わりと。しみったれたキャラバンを
いくつか襲って、みんなそれなりに慣れてきて、そろそろちょっとでかい獲物いってみよう
かな、なんて考えてたところへ、向こうから来たの。大物が。
 異端者ラムザ、って言ったら有名人よ。北天のボスの三男坊が異端宣告されたんだもの、
賞金もすごくて、これ捕まえたらしばらく遊んで暮らせるって感じで、それが目の前の街道を
ノコノコ馬車つれて歩いてるもんだから、もう大喜びで襲いかかったわけ。あたしたち。


 まあ、あれよね。全国指名手配されてるのに平気で表街道歩いてるってのがどういう
ことか、あたしたちももうちょっと考えてもよかったわよね。
 強いのよ。もう、滅ッ茶苦茶に。その頃あたしたち、赤チョコボを一頭持ってたの。近くの
草原で捕まえてきたチョコボがたまたま生んでくれて、この子がいれば何が相手だって
負けやしない、くらいに自信あったんだけど、あっという間に真っ二つにされて羽も残ってないの。
 異端者ラムザって初めて見たけど、ガキくさい顔してるのね。それで激強って反則よ。
他の連中だって白魔道士だな、と思ったら算術使ってくるし、騎士だな、と思ったら見たことも
ないハデな技使うし、正直もう全然相手にならないって感じで、その中に一人だけ、やたら
ヘボい奴がいたの。そいつから切り崩してこうと思って集中攻撃しても、他の奴らが
かばっちゃって届かないのよ。で、そいつ後ろの方から石投げたりしてチンタラやってんの。
何なのよって思ったら、要するにそれ、新人君をトレーニングしてるのね。こっちは一応
その日のメシを懸けてやってんのに、練習台扱いよ。ムカついたわよ。だけどまあ、こりゃ
勝ち目ないな、とも思ったわね。
 で、さっさと逃げればよかったんだけど、なんとなくタイミング外してズルズルいっちゃって、
もうほとんど全滅しちゃって。歩けるのあたし一人で、さすがに覚悟きめて、まあプラマイで
ちょっと損したくらいの人生かなー、とか走馬燈ったりしてると、さっきから一番ハデに
どかんどかんやってた女騎士がぐんぐんこっち来るの。あたしも一応騎士だから、やっぱり
最期は背負い傷より向こう傷がいいな、なんてガラにもないこと考えちゃって、こう正面を
向くのよ。向くだけよ、もう腕がやられちゃって剣持てないから。女騎士がこう、でかい剣を
構えて、ああ最期だな、って思った時に。
「……貴公。もしや、サンドラ・ラスカリスではないか?」
 あれ? って。
 その女騎士が、剣構えたまま固まってるのね。なんか驚いた顔してる。その顔をじーっと
見てるうちに、あたしもどうやら、思い出してきたの。
「……あなた、アグリアス!?」
 彼女、あたしの士官学校の同期の、アグリアスオークスだったわけ。


 驚いたって、そりゃあ驚いたわよ。もー、驚きすぎてワケわかんなかったもの。
 そのうち、他の連中もわらわら集まってきて、しまいに異端者本人まで来て、
アグリアスさんの知り合いですか」
「うむ、アカデミーのな」
 なんて、こっちは死にかけてんのに呑気な話が始まって、そのうちどう転がったのかよく
わかんないけど、
「サンドラ、貴公、よければ我らと一緒に来る気はないか?」
 なんてことになって。
 結成したばかりの盗賊団は壊滅しちゃったし、残った連中もすっかりビビっちゃって
「くにへ帰る」とか言い出してるし。山賊も異端者も大して変わんないし、いいかなって。
そんなわけで勧誘に乗って、あたしは晴れて異端の一味になりました。
アグリアス、ひさしぶり。あなた、なんで異端なんかになっちゃったわけ?」
 入隊してまず一番に訊くことったら、これしかないわよ。
 だってねだってね、アグリアスっていえば堅物で有名だったのよ。あたし達の同期の中で、
寮の門限を一度も破ったことがないのは彼女だけだったし、法学と哲学で満点を取ったのも
彼女一人だったわ。料理と裁縫で追試をくらったのは他にもいたけど。勉強だけじゃなくって、
美人だから男どもが群がるんだけど、全然相手にしないの。もう男女七歳にして席を同じう
せずって感じで、力ずくで迫って窓から投げ落とされた男もいたって話だわ。そんなだから
後輩の女の子達にも人気があって、こっちの方には普通に相手してたもんだからそういう
趣味なんじゃないかなんて言われたりして、でもやっぱり本人は全然気にしないで。高嶺の
花っぽいんだけど別に浮いてるわけでもない、ちょっと頼れる真面目さんだったわけよ。
 それがよりによって、異端よ異端。あたし達の学校はわりとリベラルだったけど、教派に
よっては人間扱いされないのよ。神学の成績だって悪くなかった彼女が、何をどう
転がしてこんな所に。
「まあ、色々と経緯があってな……おいおい話すよ」
 ちょっとちょっと何よ何よ。いつの間にそんな含みのある苦笑いなんてするようになった
わけ。そりゃあたし達だってもう学生じゃないんだし、色々と人生積んできてるけどさ。
変われば変わるっていうか。


「オヴェリア王女殿下の近衛騎士団に配属されたんじゃ、なかったっけ」
「……そのことも、な。ただ一つ言えるのは、私は正義にもとる戦いをしているつもりは
ない、ということだ」
 ふーん。
 根っこのところは変わってないみたいで、あたしは少し安心した。それと同時に、彼女を
こんな風に変えちゃった異端者ってものに、ちょっと興味が出はじめていた。



 自慢じゃないが、あたしは状況に順応するのは早いほうだ。異端といっても満月の晩に
コウモリの目玉を鍋で煮るとか、そういうことをする連中がいるわけじゃないので、ここの
隊にもすぐ慣れた。
 アグリアスは見た感じ、ここでは副長格のポジションにいるようだった。隊長であるところの
異端者ラムザはあんな顔して頭も切れるし腕も立つんだけど、あんな顔だからしてどうにも
迫力に欠ける。そのへんをフォローしてあげてるらしい。で、やっぱり驚いたのは彼女の
変わりようだった。
 昔から、真面目っても話のわからない奴じゃなかったんだけど、ただ唯一、エッチな話
だけは彼女ダメだった。女子どうしの猥談(ったって可愛いもんよ、まだみんなネンネ
だったんだから)にも絶対に加わらなかったし、こっそり男子寮に遊びにいく計画が耳に
入ったりしようものなら目くじら立てて怒ってた子が、
「おはようアグリアスさん、今日は一段と美人だね」
「お早うムスタディオ、今のはアリシアに伝えておくぞ」
「なーアグ姉、また踊り子やってくれよー。色っぽいんだもん」
「必要があればな。そんなに見たければ、まずは私の代わりに前衛を務められるくらいになれ」
 なーんて、男共のセクハラを軽くいなしてるんだから、もう目を丸くするしかない。もめ事の
相談なんか持ち込まれると、ビシバシ捌くところは昔のままだけど、昔ほど正論を突きつけ
ないようになってる。たまにはなあなあで話を収めたりもするし、何て言うかふところがぐっと
深くなった感じで、頼れる真面目さんから、頼れる姐さんにクラスチェンジ。いつのまに。


 他にも、私服なんかほとんど持ってなくて、あっても質実剛健なもっさい男物だけ(彼女
くらいの美人が着てると、それもそれで味があったもんだけど)だったのに、地味だけど
案外センスのいいシャツなんか、きれいに畳んで行李の底にしまってあったりして、こないだ
非番の日に洒落た細身のパンツに合わせて着てきたのは、ちょっとびっくりするくらい
キマッていた。男連中が見とれてはやし立てるんだけど、本人はあんまり気にしない様子で、
かといって自覚がないわけでもないみたいで、普通に流してる感じ。
 変わったねえ、って言ったら、
「そうか?」
 なんて余裕で微笑んだり。
 全体に言って、女らしくなってる。媚びてるってわけじゃなくて、自然な女らしさが、ピッとした
立ち居の中の、ちょっとした仕草やなんかに現れて、それがすごくフェミニンだ。
 フェミニンなんて言葉から世界一遠いところにいたはずの彼女が、何でこうまで変わっちゃった
のか。当然、あたしは興味を持った。人見知りしないのがあたしの長所だ。幸い、彼女に
なついてる部下の騎士二人がいい子ですぐに仲良くなれたし、事の真相を探り当てるのに、
大した手間はかからなかった。
 ある晩、夕食の後かたづけ当番にアグリアスが当たって、近くの小川へバケツを提げて
いくのを、手伝うような顔して何気なくついてって、二人で洗い物をしながら、あたしはズバッと
切り込んでみた。
「男でしょ」
「は?」
 アグリアスは怪訝そうな顔をしてる。ちょっと切り込みすぎたみたい。あたしはあらためて
深呼吸をすると、
「あなた、惚れた男ができたでしょ。それで、その男と深い仲になったんじゃない?」
 こんどは覿面だった。濡れないようにまくった袖の、二の腕まで真っ赤になって、アグリアス
洗ってた皿を川へ流しそうになった。
「なっ……どうしてそれを……!?」
「あ、やっぱりそうなんだ」


 今の突っ込みが単なるカマかけだったことに、その時になってアグリアスは思い至った
みたいだった。こういう引っかけに乗りやすいところは昔からだ。
 聖アジョラの時代から、女は恋をして輝くものと相場が決まっている。彼女の女っぷりが
ここまで急上昇した原因も、考えてみれば簡単なことだった。ただ、あたしの知る彼女の
キャラとあんまりかけ離れていたから、思いつくのに時間がかかっただけだ。
 それにしても、うーん、彼女に男かあ。同期のエドワードあたり、聞いたら泣くだろうな。
「相手は、ラムザ隊長?」
「…………………………うむ……」
 自爆寸前のボムみたいな顔で、アグリアスはこっくりとうなずいた。彼女の照れた顔って
初めて見たけど、こんなに可愛いとは。
「ね、ね、どーなってそーなったの? 馴れ初めは? どんな所が好きになったの? 
向こうは何て言ってるの? もしかして、ベオルブ家の頃から知り合いだったの?」
「いや、それは……」
 アグリアスはもう勘弁して欲しそうだったが、ここまできたら押しの一手だ。洗い物も
そっちのけにして畳みかけていくと、しきりに恥ずかしがりながらも、ぽつぽつと少しずつ
これまでの経緯や、彼とのことを語ってくれた。
 曰く、オヴェリア王女の護衛として北天から派遣されてきた傭兵団の中に彼がいたこと。
傭兵隊長に逆らってまで、彼が自分達の味方をしてくれたこと。バリアスの谷を一人逃げて
いるところへ、奇跡のように現れて助けてくれたこと。ベオルブ家の人間であることを知って、
それでも信じると決めたこと。最初は彼の信念に共感し、一緒に戦っていくうちに少しずつ、
異性として意識するようになっていったこと。不器用な性格のせいで、なかなか言い出せ
なかったこと。彼が戦いで重い傷を負い、命も危なくなったその夜、我慢できなくなって
気持ちをうち明けたこと。ラムザも自分を好きでいてくれたと知って、飛び上がるほど
嬉しかったこと。つきっきりで彼の看病をしたこと。初めて結ばれた夜のこと……。


「……それが、一月あまり前のことだ。細い雨の降る、あたたかい夜だった」
 最後にアグリアスは、しずかにそう結んだ。川の音と、木の食器を洗うカラカラという
音だけが、しばらく聞こえていた。あたしも柄にもなく引き込まれてしまって、黙って
スプーンを洗ってた。
 男に惚れる、ということと、男に抱かれる、ということは、あたしたち貴族の娘にとって
まったく別のことだ。アバンチュールは、誰でもやる。アグリアスみたいな例外もいるけど、
大抵の子は結婚する前に、一つや二つの恋はする。だが純潔というのは、これは別の
次元の話だ。それは未来の旦那様に捧げるもの。というよりも、純潔であることは、ちゃんと
お嫁に行くための資格証明のようなものなのだ。
 あたし? あたしはほら、山賊の頭なんかやってた時点で家に帰る気なかったし。貴族っ
たって小さい家だし、兄弟も多いから跡継ぎにも困ってないだろうし、その、うん。けっこう
楽しかったし。だがアグリアスはそうはいかないのだ。何しろオークス家ってばカリカリの
旧家。そこの一人娘であるアグリアスは、あんな性格だからきっと恋愛なんて一生経験
しないまま、年頃になったらそれなりの家柄の人をお婿に迎えて、貞淑に添い遂げるん
だろうと学生時代のあたし達は思ってたし、本人もそう思ってたはずだ。その純潔を、
捧げた。つまりそれは、オークス家を捨てて、ラムザの妻になる決心をしたということだ。
 そりゃあ、こんな身の上になっちゃえば、どっちにしろ今更家になんて帰れないだろうけど。
それでも、自分の家柄に誇りを持っていた彼女にとって、軽い決断じゃなかったはずだ。
同時に、それだけの決意を受け止める、ラムザ隊長にとっても。


 その辺のことを、もうだいぶ片づいてきた洗い物の合間にそれとなく聞いてみると、
「私に万一のことがあれば、いとこに家督を継いでもらうことになっている。失ったものは
あるが、後悔はしていない」
 落ち着いた、でも少し寂しそうな声で、アグリアスはそんなふうに言った。
「本当に好きなのね、隊長さんのこと」
「ああ。愛している」
 はにかんで、こっちを見ないで、でも真面目な顔できっぱりと言い切った、その声で。
 ああ、彼女やっぱり変わってないなあ、という思いと、やっぱり変わったなあ、という思いが
ごちゃ混ぜになって、あたしは何も言えなくなってしまった。




 その後、あたしはしばらく異端者の一味としてあちこち行ったり来たりしたけど、ある時
隊長に頼んで抜けさせてもらった。
 理由は、まあ、ちょっとくたびれたのと、戦いのレベルがどんどん上がって、あたしじゃ
ついていけなくなったっていうのも大きい。最後の頃にはあの雷神オルランドゥ伯(公式には
ベスラ要塞で死んだことになってるけど、ほんとは生きてた)まで一緒になったんだから、
あたしなんてもうてんで出る幕がないのだ。
 隊長はごくあっさりと、足抜けを認めてくれた。いくらかのお金もくれて、おまけに餞別
だってポーキーを一匹わけてくれたから、それを飼えるようなちょっとした庭のある家を
ウォージリスの郊外に借りて、あたしは今料理屋のおかみをやっている。異端者やってた
時にレーゼさんから教わった、鴎国風ポークシチューがなかなか好評だ。おかげさまで
常連さんもついて、その一人でちょっといい男の粉屋さんから求婚されてて、そろそろ
落ち着こうかどうしようか、迷ってる最近だったりする。
 異端者一行は指名手配中のまま行方不明、ってことになったらしい。あたしが最後に聞いた
ところでは、決戦はオーボンヌになるような様子だったけど、足抜けしてしばらくたった頃、
オーボンヌ修道院は謎の大爆発で建物丸ごと吹っ飛んだ。きっと関係あるに決まってるけど、
どう関係あるのかは全然わからない。
 でもきっと、みんな生きてるんじゃないかな、なんてあたしは楽天的に考えている。
街角の手配書が風で剥がれて無くなった頃に、ひょっこり顔を出してくれたりしないかな、
なんて思ってる。
 その時のことを想像すると、やっぱりもうしばらく料理屋を続けてようかな、なんて思ったりも
する、あたしの今日この頃である。




 ところで、アグリアスから事の真相を聞き出した、その日の深夜のこと。あたしはお酒と
枕をかかえて、アグリアスの寝ているテントを襲撃した。
「さて、ちょっと聞きたいんだけど」
「……まだ何かあるのか、こんな時間に?」
「ぶっちゃけ、あなた達の夜の生活って、どうよ?」
「なっ……!! 何を!」
「だって、これでようやくアグリアスも猥談できるようになったんじゃない。昔っから、あなた
だけ混ざってくれなくて寂しかったんだからね。隊長さんって、やっぱり顔相応に子供なわけ? 
それとも案外スゴかったりするの?」
「ばっ、しっ、知るか! だいたい人に聞かせるようなことではない! 話すようなこともない! 
普通だっ!」
「普通ってどうしてわかるのよ。他の人のこと知ってるの」
「ぐっ……」
「だからほら、その辺もあたしが判定してあげるから。ほらほら」
 一度押しに屈した人間は、再度の押しに弱くなるものだ。輜重車からちょろまかしてきた
酒をすすめつつ膝を詰めていくと、アグリアスは河原の時よりも顔を真っ赤にして、渋々と
いった様子で話し出した。
「つまり、その。風紀上大っぴらに会うわけにはいかないから、今晩みたいな静かな夜に、
忍んでだ。まず……を……でだな」
 うんうん。
「……を……する前に、軽く……などをして」
 ほうほう。
「最初は……で……してから、ラムザは……を……してくれて」
 そりゃまた、なかなか。
「何度か……で、……すると、……になって、私も……で、…………を」
 うわー。結構、やることやってるのね。
「そのあと……で、……したり、……を……して、もう一度……だったり、……が」
 そんなことまで! すごーい。
ラムザの……は……だから、私も……を……に……したり」
 ……え? ちょっと待って。ちょっと。
「……を……だったり、……すると喜ぶから、……を使ったり」
 ……。
「一度などは……で、……して、気がついたら二人とも……」
 …………うそ。
「最近は……てみたり、何度も……で、朝になって……で……」
 …………。
ラムザときたら……で、……だから、私はいつも…………あれ、サンドラ?」
「………………」
 異端者、恐るべし。
 予想をはるかに超えてお腹いっぱいになってしまったあたしは、酒の残りを一人で
かっくらって、とっとと寝ることにした。
 そんな感じだから、まあ今でも幸せにやってるわよ、あの二人。きっと。



End