氏作。Part14スレより。

「な、なんだ、どうしたんだ?」
「むふふふふ、アグリアス様逃げてもムダですよぉ〜。」
「今日こそは私たちの言う通りにしてもらいますからね!」
「こ、こらっ!よせ、やめろッ!」
「じっとしてくださいよ〜」
アリシア、足を押さえろ。」
女性部屋中に3人娘の嬌声が響く。
それもそのはず、アリシアとラヴィアンはアグリアスをベッドに押し倒して、嫌がるアグリ
アスの服を無理やり脱がそうとしているのだ。
しかしアグリアスの優れた肉体はアリシア、ラヴィアン2人がかりでも十分に抑えることは
出来ず、逆にアグリアスの、
「やめんか!!」
という一括と共に跳ね飛ばされる。
アグリアスは肩を怒らせてベッドに座り2人をにらむ。
「いたたた、もお〜アグリアス様ったらどうしてそんなに嫌がるんですかぁ〜?」
「うるさい!私はそんな趣味は無いんだ!」
アグリアスの怒鳴り声に駄々をこねるようにしていたアリシアも思わずビクッとする。
「しかしアグリアス様。こういったことは常識です。世間から見ればアグリアス様の方がお
かしいですよ。」
「むむむ、し、しかしだな。やはり私にはこういうものは・・。」
ラヴィアンの冷静な物言いにアグリアスは少しひるむ。


「あら、どうしたの?なんだか騒がしいみたいだけど?」
「・・なんだか散らかっているわね。」
とそこに本日のアタックチームのレーゼとメリアドールが入ってきた。
「あっ!レーゼさんちょうどよかった、ちょっとお耳を貸してください!」
突然アリシアが大声で言う。
「あらあら、何かしら?」
レーゼは相変わらずニコニコしながらアリシアとラヴィアンに袖を引かれて部屋の隅に連れ
て行かれる。
三人は部屋の隅でなにやらヒソヒソと密談を始める。
時折聞こえる「うふふ」「クスクス」といった含み笑いが不気味だ。
「一体何があったの?なんかやたらと疲れてるみたいだけど。」
「うむ、それがな・・。」
アグリアスが状況の全く掴めていないメリアドールに説明しようとすると、
アグリアスさん?」
と、レーゼがニコニコしながらこちらに声をかける。
(まずい!)
アグリアスは背中に悪寒を感じた。
レーゼがこういう顔をするときは決まってアグリアスにとっては好まざる状況を引き起こす。


「な、なんでしょうか。」
顔をこわばらせた精一杯の笑みで返す。
「それっ♪」
「うわっ!?」
突然襲い掛かってきたレーゼによって再びベッドに押し倒される。
おしとやかに見えて隊内最強の腕力を持つレーゼにはさしものアグリアスもなすすべなく横
から出てきたアリシア、ラヴィアンによってみるみるうちに服を脱がされる。
あっけにとられていたメリアドールだがアリシアが持ち出した物を見てようやく合点がいっ
た。
「へえ・・。綺麗ね。」
アリシアが持っているのは青いシルクのワンピース。
これといった装飾はないが清楚なイメージがアグリアスには良く似合いそうだ。
「でしょう?結構高かったんですよ〜コレ。でもアグリアス様がこのドレスを着たお姿を考
えれば値段など問題ではないんです!」
「誰も頼んでなど!あっ、ちょっとレーゼ殿!そこは!きゃ!あっ、ダメ、ダメぇ!」
みるみるうちに着せ替えられていくアグリアスを見て、幼い頃イズルートを無理やり女装さ
せた過去を思い出し、
(今度ラムザにやろうかしら・・。)
なんてことを考える最近前向きなメリアドールであった。


数分後・・。
「キャー!素敵!素敵!」
「よくお似合いですよ、アグリアス様。」
「ほんと、よく似合ってるわよ。」
「うるさい!」
アリシア、ラヴィアン、メリアドールが口々に誉めるのをアグリアスは顔を真っ赤にして怒
鳴る。
「あら、ダメよ、アグリアス。そんな言葉遣いをしたら。せっかくの衣装が台無しよ」
「このようなもの着たくはありません!もう脱ぎます!」
怒ってワンピースを脱ごうとするアグリアスにレーゼは必殺の一言を放つ。
「残念ね〜。ラムザが見たらきっと喜ぶのに。」
間。
アグリアスは目にも留まらぬ速さで振り向きレーゼの肩を掴む。
「・・・本当にそう思いますか?」
「ええ、もちろん。その格好をラムザに見せたらきっとイチコロよ♪」
レーゼは人差し指を立ててウインクをする。
「そ、そういうわけではありませんが、ラムザは日ごろ何かと苦労していますから、この程
度で喜んでくれるならお安い御用という物で・・。」
憮然としながらも声の震えは隠せないアグリアスの様子をアリ、ラヴィ、メリは必死に笑い
を堪えて黙っている。
「じゃあ早速行ってきなさい。ラムザは部屋でアイテムのチェックをしているからこれを口
実にすれば大丈夫よ。」
そういってレーゼはクスクス笑いながら自分が今日使った装備一式を渡す。
「そ、そうですね。早めにした方がいいですね。私も早く脱ぎたいですし・・。」
アグリアスはブツブツ言いながら部屋から出て行った。
着せ替えあたりで通りかかって鼻血吹いて瀕死のラッドにも気付かず。


ラムザ・・。レーゼ殿に頼まれて装備を返しにきたのだが。」
「ああ、ありがとうございます。じゃ、そこに置いといてくださ・・。」
振り向いたラムザアグリアスの格好を見てちょっと驚いた。
「わあ、綺麗ですね〜アグリアスさん。よくお似合いですよ。」
「そんなに見るな・・。」
アグリアスは顔を真っ赤にしてもじもじしながらレーゼの装備を置く。
レーゼたちに着せられたときは怒りのあまり気付かなかったが、デザインとしては清楚でも
スタイルの良いアグリアスが着るとそうにも体のラインが強調されて実に艶かしい。
実はワンサイズ小さいものを選んでいた抜け目のないアリシアとラヴィアンであった。
「戦場での勇ましいアグリアスさんも素敵ですけど、そういう女性らしいアグリアスさんも
素敵ですね。」
「そ、そうか?」
「ええ。まるで絵から抜け出してきたみたいですよ。」
本心からラムザは言う。
「あ、ありがとう。しかし、私にはこういったものはどうもな・・。肌がスースーして心も
とない・・。」
そう言ってアグリアスは胸元を手で押さえる。
「ふふ。着慣れてないからですよ。せっかくだからこれを機会にもっと女性らしい服を着ま
せんか?」
ラムザはクスクス笑いながら言うとアグリアスは赤い顔のまま背筋を伸ばして咳払いをひと
つ。
ラムザがそういうなら考えておこう。」
その時アグリアスに名案が閃いた。


「な、なあラムザ。私はその、なんだ。女性物の洋服には疎い。だから・・、えっと・・貴
公はそういうものに詳しそうだな?」
アグリアスがしどろもどろに言うのを嫌な顔一つせずにラムザは答える。
「はい。そうですね、アルマと一緒によく服を買いに行きましたからね。店員が僕を女性と
思って服を薦めてきて大変でしたけどね。」
「そ、そうか。その店員の気持ちはよく分かる、じゃなくて、それなら私と、・・その。」
密かに考えていたことを言おうとするがなかなか言えないアグリアス
それを機敏に感じ取ったかラムザが言う。
「あっ!デートのお誘いですか?」
「!!い、いやそういうアレではないのだが、う、うむ。出来れば貴公に、あの、一緒に選
んで欲しいのだが・・。」
動揺して両手をブンブンさせながら必死に言うアグリアスラムザは楽しそうに見ている。
「ええ、全然かまいませんよ。大船に乗った気分でいてくださいね。僕はアルマからもセン
スがいいって言われてますから。」
ラムザはコロコロ笑いながら胸を叩く。
「そ、そうか。では頼りにしているぞ。」
「ハイ任せてください。ところで。」
ラムザはニコニコ笑って言う。
「今日はどこかの方とデートですか?」
「・・・・。」


部屋の外で聞き耳を立てていた4人は忍び足でアグ、アリ、ラヴィの部屋に戻る。
「はあ、たいちょ〜ってホントどんか〜ん。戦場とは大違い。」
「でもこれでアグリアスに武器が増えたわ。勇ましさと女性らしさ・・。篭絡の日は遠くな
いかもね。ふふ。」
「それにしてもホント良く似合うわね、アグリアス。素敵だわ。」
「うふっ。実はメリアドールさんの分もあるのよね〜。」
「ええっ!?」
「メリアドールさんもあまりに色気が無さ過ぎます。少しは女性らしくするべきです。」
「わ、私はいいから〜!!あっ!それよりもっとおもしろいこと考えたんだけど。」
なになに?と興味を示す3人。
「ちょっと耳を貸して。あのね・・。」
ラムザに忍び寄る魔の手!ラムザ危うし!
続かんけど。


おまけ

「なんか俺今回いじられてねえな・・。ボコボコにされるのもつらいがノータッチもつらい
モンだぜ・・。」
一人愚痴るムスタディオであった。


 完