氏作。Part20スレより。


昔々かどうかは不明ですがある所にラヴィアンという木こりが住んでいたという設定だそうな。
今日もラヴィアンはウッドブレイクで木をへし折っています。
ところが汗で斧がすっぽ抜けて湖に落ちてしまいました。
「ガーンッ! 買い換えたばかりなのに、アグリアス組長に怒られる!」
アグリアス組長とは、ヤクザの組長ではなく、木こり組合の組長さんです。
ラヴィアンがほとほと困っていると、湖の中からザバーッとマインドフレイアが出てきました。
マイマイマイ〜。フレフレーイーア」
「ごめん何言ってるのか分かんない」
「マインドフレレ〜!」
するとマインドフレイアはクリスタルを取り出し、ラヴィアンの顔面に投げつけました。
「ぐはぁっ!」
ラヴィアンはクリスタルに記録されていた魔獣語のアビリティを継承しまいた。
『これで俺の言葉分かるやろ? 俺は湖の触手神、ゴンザレスっちゅーもんや』
「ツッコミ所は色々あるけど、何の用?」
『お前さん、今、落し物したやろ? 俺が取ってきてやろか?』
「マジ? お願い〜」
『よっしゃ任せい』
ゴンザレスはいったん湖の中に戻り、今度は両手に金と銀のやつを持って出てきました。
『何か2つ落ちとったわ。お前さんが落としたのはこの金髪のツンツン頭か、銀髪のロン毛、どっちや』
「俺は元ソルジャー1stのクラウドだ」
「俺は元ソルジャー1stのセフィロスだ」
「何か銀髪の人にものすっごい見覚えあるんですけど、源氏グッズ持ってる気配ないからやっぱ違う人だよね」
『さてさて、お前さんが落とした男はどっちや?』
ラヴィアンが落としたのは斧だ。
だが目の前には男前が2人。
ラヴィアンは答えた。
「両方!」
ゴンザレスは笑った。
「両方落とすやなんて豪快なねーちゃんやなー。ほれ、持って帰りぃ」




「という訳で今日からお世話になるクラウドさんとセフィロスさんです」
「俺の超究武神破斬で木を切りまくってやろう」
「俺はこのとてつもなく長い正宗で軽々と木々を切り倒してやろう」


男前2人を連れ帰ったラヴィアンから話を聞いたアリシアは、
ならば自分もと斧を持って湖に向かった。


「あぁーしまったついうっかり手がすべって斧が湖に落ちちゃったよどうしよぉ」
ザバァー! 湖の中から出てきたのは蛙でした。
「俺の名はマラーク、湖の精霊だ。お前落し物しただろう」
「待て待て待て待て、なんで蛙? 魔獣語習得するために徹夜してジョブポイント稼いだ努力無駄?」
「よく分からんが落し物を拾ってきてやるから蛙を崇め称えよ」
マラークは湖の中に潜り、再び出てきた時はやはり2人の男を同伴していた。
さすがに蛙が人を持つ事はできないので、2人とも立ち泳ぎをしてくれている。
「お前が落としたのは万年見習い戦士のラッドか、それとも白いお髭がダンディなガフガフおじさんか」
「斧です落としたのは」


こうしてアリシアは、マラークが再び湖に潜って拾ってきた斧を返してもらった。



ラヴィアンのハーレムに苛立ち、アリシアの愚痴に呆れたアグリアス組長だったが、
彼女も湖に興味を持って、斧を片手に湖へ向かう。
「ポイッ」
誤って落とすフリなどせず、アグリアスは湖に斧を放り込んだ。
するとザバァー! と湖から金髪の美少女が出てきた。
「こんにちは、湖の精霊のアルマといいます。
 あなたが落としたのは可愛い美少年のラムザ兄さんですか?
 それとも超レアなハイレグ天使アルテマラムザVerですか?」
「……両方だ」
「いけしゃあしゃあと何嘘ついてんですか、あなたが落としたのは斧でしょーが」
「ちょっ、ラヴィアンの時は両方渡しただろうが!」
「知りませんよラヴィアンなんて人、私から兄を奪おうとするあなたは許しませんよ、食らえアルテマー!」
「グホッ! ならばこちらも実力行使、不動無明剣ー!」
「キャンッ! ならばこちらもハイレグ天使に変身!」
「おのれ卑怯だぞー!」


死闘があった。
血で血を洗う、凄惨な闘い。木々は薙ぎ倒され、天は暗雲に覆われる。
稲妻が大気を裂き、白き翼と赤い身体が宙を舞う。
謎の争いは三日三晩続き、朝日の光が大地を照らす頃、ようやく終焉を迎えた。


死闘を繰り広げた人物達が何者であったのか、どちらが勝ちどちらが負けたのか、それらは謎に包まれている。
その湖の側にあった木こり組合には、騎士と天使が愛する者を守るために戦い、
相討ちとなったという悲しい伝説が伝わっている……。




木こりになりたての少年、ディリータが森で木を切っていると、手が滑って斧がすっぽ抜けてしまった。
斧は近くにあった湖に落ち、ディリータは途方に暮れる。
すると湖からザバァー! と金色の髪をしたお姉さんが現れた。



「私の名はアグリアス、この湖の精霊だ。何か落し物をしたろう? 拾ってきてやる」




 おしまい