氏作。Part20スレより。

アグリアスさん」
耐えきれなくなった僕は彼女を押し倒す。ほろ酔いの彼女はとてつもなく魅力的で僕の理性
はあっという間に融けて無くなっていた。
「こら、ラムザ。いきなり何をする」
アグリアスさんはそう言いながらもくすくすと笑っている。
こんな時間に男の部屋に押しかけて晩酌につき合わせる彼女はあまりにも天真爛漫で無防備だ。
「もう我慢できないんですよ」
僕は彼女の瞳を見つめながら叫んだ。明かりの灯が一瞬揺らめいたような気がする。
「なんのことだ。何が我慢できないんだ」
アグリアスさんはおかしそうな笑みを崩さずに言った。
「決まっているでしょう。あなたを抱きたいんですよ」
僕はそう言いながら彼女に覆い被さりキスをした。ろうそくはまだ揺れている。
「んんっ、なんだラムザ、そんなことか、それなら我慢せず言えばよかろう」
アグリアスさんは母性を湛えた顔で僕にそう言った。
僕はその場慣れしたかのよな言い方に酷いショックを受けた。彼女は穢れない乙女であると信じていたのに。
「どうした、ラムザ、変な顔をして。そら、抱いてやろう」
そう言って彼女は僕の背に手を回し体をぎゅっとしてくる。いきなり感じた彼女の柔らかさに僕は驚くだけだった。
「どうだ、ラムザ。満足したか」
微笑みながら彼女は甘く囁く。
からかわれているのだろうか。僕は酷く暗澹たる気持ちに陥った。暫らくの間気まずい沈黙の時間を過ごす。
からかわれてもいい、彼女を抱きたいとちゃんと言おう。そう決意した。
「なぁラムザ。いっぱいキスしてるのに何でわたしたちの赤ちゃんが出来ないんだろうな」
いきなり彼女が寂しそうな声で聞いてきた。


アグリアスさん。ちょっと赤ちゃんの作り方言ってみてくれませんか」
僕を抱く腕の力が強まった。
「だから、愛し合う男と女がキスすれば赤ん坊が出来るのであろう、お前は遠まわしに私を石女だと非難しているのか」
少し泣きそうな声で言う。
そういえば、彼女は物心ついたと同時に厳格な修道院に入れられていたんだったということを思い出した。
もしかしてそっち方面の知識がまるで無いのかもしれない。
そんなことを暫らくの間考えていた。しかし、すすり泣く声が聞こえて一気に醒める。
「よ、世継ぎを産めない私に、し、失望したのか。他の女の元に行ってしまうのか」
「あ、あのね、そうじゃなくてね。まず赤ちゃんの作り方が間違ってるんですよ」
なんだかかわいらしくなって彼女の頭を撫でてあげながらいう。
普段が普段だけに彼女の泣き顔はひどく愛らしい。
「なんだと。で、ではどうすれば子供を作る事が出来るのだ」
驚きで染め上げた顔でこちらを見る。あっ、ちょっと鼻水がたれている。
後でこの服洗濯しとかなきゃなと思いつつ、袖で拭ってあげる。
「うー、すまん。それで、どうすればいいのだ。早く教えてくれ」
そう直截的に言われて返答に困ってしまう。どうすればいいのだろうか……
「そういきなり言われても。ちょっと言葉にしにくいというか。」
「なんだ、それなら実際にやってみればよいではないか。どうせいつか私に子を産ませる気であったのであろう」
こんなことを愛しい人に言われて我慢できるはずがない。ろうそくが一瞬強く燃えて、消えた。



その日、僕は実習で彼女に教える事となった。



ちなみに結果は十月十日後にちゃんと出て僕達を喜ばせた事を追記しておく