氏作。Part22スレより。



ラムザ達は異端者として狙われる身である事はご存知であると思う。
度重なる教会の追っ手、そして野生のモンスター達に襲われる事も少なくない。
ラムザ隊が現在通過している場所はゼイレキレの滝、山岳地帯の部類に入るために地形の起伏も激しく
教会の追っ手や野生のモンスター達も迂闊には近づくことの出来ない危険な場所である。
その為にラムザ達はゼイレキレの滝を敢えて進路として選ぶこともある。
物資や食料なども底が尽きそうにある、貿易都市ウォージリスならば色々な物も見れるし様々な食料も買える、何より現在地からは一番近い。
ウォージリスに行くにはゼイレキレの滝を通るしかない、足場に慎重にならなければならないが
それ以外のデメリットは少ないので迷わずゼイレキレの滝に進路を選んだ。
だが・・・「確実に何者も居ない」という保証はない、今回は野生の黒チョコボ・赤チョコボに出くわしてしまったのである。


「くっ・・・!! 迂闊に動けばチョコボの鋭い爪に抉られてしまう!!
 しかも足場の悪いこの岩場、足を取られないようにせねば・・・」
「アイテムも底を尽きかけている今では、私の剛剣も貴女の聖剣技もやたらむやみに連発できない・・・
 ここは私達が囮になってムスタディオ達の狙撃組・マラーク達の魔術師組に期待するしかないわ」
「ああ、チョコボが疲弊したところを確実に仕留める!!」
「前に出れないということがこんなにももどかしいなんてね・・・躓いたら崖に真っ逆さまなんてゴメンだわ」


アグリアス・メリアドール前衛組は慣れない足場に加え、野生のチョコボの力強さに苦戦を強いられていた。
チョコボのパワーと巨体は人間とは比較にならない、足場の不安定さもありいつもの様に戦うことが出来ない。
黒チョコボの飛行能力は狭い足場を物ともしない、狭い足場しかない前衛組達には脅威である。


「くそっ!! デカい割にチョコマカと飛びやがるぜ!! しかもこちらが狙撃しようとすれば巧い具合に岩陰に隠れやがるぜっ!!」
「落ち着け、ムスタディオ。 黒チョコボは魔術師組に任せるんだ、オレ達は少し近づいて岩陰に隠れながら赤チョコボを仕留めるぞ」
「だが黒チョコボを魔術師組に任せるのはいいがアイツら危ないぜ、軽装備なんだぜ」
黒チョコボは様子を見つつ威嚇射撃をするんだ、ムスタディオは前衛組を助けるんだ」
「ラッドは魔術師組を援護だな、わかったぜ!! だけど無駄打ちは控えないとな」


スタディオは前衛組の動きを見つつ着実に銃で赤チョコボを狙撃する。
ラッドは黒チョコボが魔術師組を襲う瞬間、動きが単調になるのを見逃さずに弓を射る。
二人は飛行する相手を攻撃できる分、まだ少し余裕があるようだ。


「ラッドが援護に来てくれたのか!? これで少しは詠唱に集中出来そうだな」
「ええ、兄さん。 ここは確実に仕留めないとダメね」
「そうだな、みんなも後がないはずだ。 集中して確実に・・・」


マラークとラファが詠唱を始める、黒チョコボの周囲は急激に気温が下がり頭上には暗雲が集まり始める。
二人は精神を集中し囁く様に詠唱を始める。


「天空を満たす光、一条に集いて 神の裁きとなれ!!」
「無念の響き、嘆きの風を凍らせて 忘却の真実を語れ・・・」
「サンダガッ!!!」「ブリザガッ!!!」


黒チョコボは巨大且つ鋭利な氷柱に貫かれ、そして追い討ちをかけるように爆音とともに轟く雷に撃たれる。
黒チョコボは絶命しながら崖の下へと落ちていく。


「ラファとマラークは巧く仕留めてくれたみたいですね」
「あの兄妹だもの、ベストパトーナーだと思うわ」



救護組のラムザとレーゼは敵の攻撃を隠れながらやりすごしていた。
戦いも終わりに近くなり皆の疲労もピークに差し掛かる頃になる、本格的に救護活動を始めようとしていたところである。


「魔術師組・前衛組・狙撃組の順に救護活動を行いましょう」
「そうね、狙撃組は見ている限りそこまで攻撃を受けた気配はなさそうだわ」
「善は急げという言葉もありますし、足場に注意しつつ急いでいきましょう」
「黒魔法と違って感覚が掴めなかったけど、こんな時の為に白魔法を勉強しておいて良かったわ」


ラムザとレーゼは魔術師組のガルテナーハ兄妹に駆け寄った。
軽傷は負っていたものの特に行動に支障は無さそうだった。
確認の言葉を軽く交わして、前衛組のところに走っていった。
前衛組の居る場所に辿り着いた頃には赤チョコボも既に倒した後であった。




「今回は数こそ少なかったが、地形にしてやられたということか」
「野生の動物の恐ろしさをまた一つ知ったわね、地形をモノともしていなかった」
「とりあえずみんなが無事でよかったです、軽傷者が数名ですし」
「そうね、軽傷者の治療をして此処を早く抜けた方が私は良いと思うわよ」
「うむ、その意見は私も同意する、レーゼ殿」
「そうね、大群に押し寄せられたら一溜まりもないわ」
「そうと決まれば控え隊の居る馬車に戻りましょう」
「おいおい、オレ達を忘れないでくれよ?」
「そうだぜ、隊長殿」
「ああ、ごめん。 ムスタディオとラッドも無事で良かったよ」


皆で今後の予定を相談しているその時・・・アグリアスの後ろに倒れていた赤チョコボが微かに動いた。
アグリアスと周りの仲間はどうやら気づかない、アグリアスの前に立っていたラムザだけがその動きを見ていた。
チョコボは立ち上がり、チョコボが最も危険視されている攻撃「チョコメテオ」を繰り出す。
ラムザはとっさにアグリアスを安全な方向へと全力で突き飛ばす。
ラムザの体にチョコメテオが降り注ぐ、ラムザはチョコメテオを瞼を瞑りながら覚悟をした。


「ラッ・・・!?」
ラムザッ!?」
ラムザァァァァァッ!!!!」



以下、未完